『家と暮らし、そして、本。』本のセレクト スロウな本屋 小倉みゆき


家。どんな家に住みたいか。どんな暮らしをしたいのか。建てる前に考えること。暮らしはじめてわかること。毎日のこと。家とは、いったい何だろう? 家にまつわる本をご紹介する「ieto.meの本棚」。

第13回 『庭をつくろう!』

 

ゲルダ・ミューラー 作  ふしみみさを 訳  あすなろ書房 刊

 

 

 

引っ越し先の家には、大きな庭がありました。草ぼうぼうで荒れ放題の庭は、まるでジャングルのよう。パパが笑って言いました。「すぐに町いちばんのきれいな庭にへんしんさせるぞ。春は庭づくりにぴったりの季節だからな」 どんな庭にしたい? 家族で計画を立てることにしました。芝生を植えたいママ。自分だけの小さな庭に花を植えたい僕。同じく小さな野菜畑が欲しい妹・・・。さて、どんな庭ができるでしょう?

翌日から、庭の手入れがはじまります。家族みんなで草をぬき、土を掘り返し、芝の種を蒔きました。土を平らにならし、霧のようにやさしく水まき。小鳥に種をつつかれないように、大きな音を出して追い払ったりも。ひと月後、青々とした芝生がじゅうたんのように広がりました。ごろんと寝そべる子どもたちの、なんと気持ちよさそうなこと!

お隣りの家には、車いすの少年ルイが住んでいました。2階のベランダで、花や野菜を育てるルイは、庭の達人! あっという間に庭友だちになりました。育てたフルーツでジュースを作る。庭に友だちを招いて遊ぶ。庭に来る小鳥たちを眺める。芝生に寝転がる。葉っぱで冠を作る。家族と過ごす夜の庭。クルミやドングリでおもちゃを作る。庭のリンゴでママが焼いてくれたアップルパイ・・・。春夏秋冬、庭でできることは、なんてたくさんあるのでしょう!

季節のうつろい、土のにおい、花や草木の香り、おいしい果実や野菜、大切なひとたちと過ごす時間。庭は、内と外を、人と人を、そして人と自然とをつないでくれます。小さな園芸家の1年が綴られた美しい絵本は、読むひとに魔法をかけることでしょう。庭仕事が、より一層愉しくなるように。庭で過ごす時間が、より豊かなひと時であるように。

 

選書・文  スロウな本屋 小倉みゆき

 

『庭をつくろう!』 オンラインショップページ

https://slowbooks.securesite.jp/shop/products/detail.php?product_id=34

 

 

スロウな本屋

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