このシリーズでは、建築家さんご自身の日ごろの暮らし方や
プライベートな関心事といったお話を通じて、その人となりを探ります。

シリーズ第4回目に登場してくださるのは、平野建築設計室・代表の平野毅さん。

好奇心が強く、チャレンジ精神旺盛な平野さんの姿勢は、 斬新さと懐かしさが同居する独創的な建築空間にも表れています。
紫陽花の花がきれいな梅雨の晴れ間、平野さんのもとを訪ね、お話を伺いました。

3.二度見したくなる家 ~気になる建築家の横顔 第4回~

2015.09.21

 

 

  • さて、事務所から移動して平野さんのご自邸へお邪魔させていただくことになりました。
    ieto.meでもトップページのイメージ写真に使わせてもらっています「ホリナンの家」が平野さんのご自邸。車でご自邸まで案内していただきます。
    田園風景の中に佇む3つの蔵が目印ですが…

  • わ!本当に蔵が3つ並んでる! 普通に眺めていると、あれが1軒の家だなんて想像もつきませんね。

ふふふ、振り返って二度見したくなるような家を建てるのが僕の理想なんです(笑)。
向かって右側の扉が玄関です。

  • この陶器の人形は?

これ、表札なんです。

  • (笑)。じっくり見れば見るほど味がありますね。まさか表札だとは思わなかったです。

かわいいでしょ。作家さんにお願いして作ってもらいました。

  • なんだか秘密基地に遊びに来ているような感覚になってきました(笑)。
    では、お邪魔します。
    ほぉ、蔵の間は板張りになっていて、繋がっているんですね。

 

はい。上はガラス天井になっているので、雨が降ってきても大丈夫です。

  • なるほど。遠くから見たときはイメージできなかったけど、蔵はそれぞれ「部屋」という感覚なんですね。

黒、赤、白と並んでいる蔵ですが、黒い蔵は岡山の由緒正しいお醤油屋さんのもので、解体してこちらに持ってきました。

  • 何年くらいの建物だったんでしょう?

当時、約120年経っていましたね。
日本家屋ってバラバラにできるんです。プラモデルと一緒なんですよ。
パーツに分けて、トラックに乗せて運び、ここで組み立てました。

  • へぇ、そんな風にして再生するんですね。

基礎の石と梁、建具、タンスなど使えるものは基本的に持ってきています。
壁は新しく塗り替えました。

  • 梁もタンスも当時のもの。だから、なんともいえない、懐かしい雰囲気が漂っているんですね。

ここは、嫁さんの趣味の部屋です。いわゆる音楽室ですね。フルート、オカリナ、ウクレレ、いろいろあります。

  • テーブル、かっこいいですね。

イームズチェアで有名なイームズ夫妻がデザインしたテーブルです。
めっちゃ使いにくくて評判は悪いんですが(笑)、デザイン的にはとても気に入っていて、古民家の中にこういうモダンなものがあると格好いいなと思います。

  • この卓球台は…?

子どもが卓球をしているので、親戚からレンタル中(笑)。

  • 家に卓球台というのも珍しいけど、レンタルってのもすごいですね(笑)。
    お子さん、音楽はされてないんですか?

今のところは。あ、でもこの間子どもたちと一緒に若手ミュージシャンのコンサートに行ったんですよ。
下の男の子が「ギター弾けるの、かっこいい!」と言い出しまして、それで今ギターがあります。
これ、じいちゃんのギターなんです。

  • 練習中なんですね。

なんかね、もうコードを弾けるらしいです。

このギター、ずいぶん前のものでオリジナルだそうです。当時、ギターを作り始めた人の作品らしくて…。あ、「昭和40年作」と書いてありますね。

  • ちょうど50年前じゃないですか! 当時、手作りのギターを弾こうだなんて素敵ですね。

  • …それにしても、蔵の中って涼しいんですね。

こっちを全部開けると風が通るんですよ。
赤い蔵に移動しましょうか。ここは新しく建てた蔵で、洗面所とお風呂があります。上は子ども部屋ですね。
赤い蔵の周囲はぐるっと回ることができる間取りになってるんですよ。ガラス天井の通路で囲われているので、日中でも電気つけなくていいくらい明るいです。

  • お隣の白い蔵は?

こちらも新しく建てた蔵です。家族が集まるリビング、キッチンがあります。

  • ちょっと高くなっていて、見晴らしがいいですね。掘りごたつ式のダイニングテーブルも居心地よさそう。キッチンと天板がつながっているんですね。
    窓からの風が通り抜けて気持ちいいです。

 

この家は一般的な家と比べると段差が多いと思うんですが、僕たち家族の生活スタイルに合わせた造りなんです。

既存の黒い蔵と、真っ白い新しい蔵と、暗いところもあれば明るいところもある。
新しいところもあれば、古いところもある。
影があって光がある。それぞれが交じりあって、建物が全体的なところで生きてくる。

そういうところに僕は魅力を感じるんですよね。

 

  • なるほど。確かに懐かしい感じと真新しい感じと、いろんなところがあって…。
    私はやっぱり「秘密基地」っぽい感じがしてきて、ワクワクします。

  • ちょっと話は変わりまして、平野さんって毎日面白そうな日々を過ごしていらっしゃるように見えるのですが、日ごろの楽しみにはどんなものがありますか?

そうですねぇ、仕事をはじめいろんなことに興味を持つこと。あとはおいしいものを食べること。家のごはん、食べ歩き、ラーメンやうどん……なんですけど、今ちょっとダイエットしていまして。

  • あらら。

体のラインが崩れてきているという指摘がありまして(笑)、
今は体を引き締めようと頑張って筋トレをしています。
マラソン大会にも申し込んでいるので、その体作りも兼ねて…。

  • すごいですね!

ただ、3週間前から糖質カットを始めたら、気合いが入らない(笑)。
とりあえず、朝は普通に食べて、昼は難波君にご飯を半分食べてもらって、夜は糖質ゼロの生活です。

  • あははは、ここのホワイトボードにも「糖質ゼロ」と書いてありますね。
    気合いは十分! マラソン大会に向けて頑張ってください。

つづく・・・4回連載 最終回「4. 住み続けたくなる家を」は9月28日UP予定です。

2015年6月 取材
文:松田祥子

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平野建築設計室

岡山県倉敷市阿知3-21-26-202 Tel.086-441-8972
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