このシリーズでは、建築家さんご自身の日ごろの暮らし方や
プライベートな関心事といったお話を通じて、その人となりを探ります。

シリーズ第6回目に登場してくださるのは、株式会社 FOMES design・代表の髙見修一さん。
髙見さんは環境に優しいOMソーラーハウスや、建築家と二人三脚で家づくりを考えるプロジェクトなど、家族みんなが笑顔になる家づくりの提案を続けていらっしゃいます。
凛とした冷たい空気に包まれた日、髙見さんのご自邸アトリエを訪ね、お話を伺いました。

3.街暮らしを楽しむ ~気になる建築家の横顔 第6回~

2016.03.21

 

 

  • 事務所から階段を上がり、2階にある住居スペースへ移動しました。場所は倉敷アイビースクエアから歩いてすぐ。落ち着いた雰囲気のステキなところです。

コーヒーでも淹れますね。

  • ありがとうございます。いい香りが漂ってきました。あら、かわいいワンちゃん!お名前は?

ミニチュアシュナウザーのナナ。2歳半になります。妻とナナと焚き火をしながら晩酌するときが、一日の中で一番なごむときですね。

 

 

ここに住み始めて約13年になります。

実は、この土地を手に入れたとき、家を建てるつもりはなくて、事務所をつくろうと思っていたんですよ。
せっかく倉敷にいるんだから、倉敷らしいところがいいなと思って美観地区界隈を探していたんです。美観地区の空気感があるところ。音楽が好きだったので音楽ホールが近いとか、美術館が近いとか、何か「芸術」が感じられるところで仕事ができたらいいなと思っていたら、不動屋さんから「ありますよ!」って。

  • なるほど、ここは仕事場としての候補地だったんですね。すでにご自邸を新築されていた?

新築ではなくリノベーションですね。実家近くの古い家を買って、リフォームをして住んでいました。築30年くらいだったでしょうか。

とても気に入っていたんですが、ある日、後輩から突然電話があり、「髙見さんがリフォームした家に住みたいんだけど」と言ってきたんです。デザイナーをしていて、アンティーク好き。雰囲気の良い古い家に住みたかったそうです。私もいろいろ探したんですけど、なかなかいい物件が見つからず、とりあえず参考にうちの家に来てみる?と家に呼んだんですね。

 

  • もしかして…。

はい。そこからはあっという間にコトが運びました(笑)。その家は半ば強制的に後輩のものになり、仕事場だけを作るつもりだったこの土地に、住みながら働けるところ(事務所兼併用住宅)をつくることになった。腹をくくりました(笑)。

  • この家を設計するときに心掛けたことは?

この通りに、この倉敷という街に「なじむ家」がいいなぁと思いながらつくりましたね。目立たなくていいんです。自然となじんでいれば。どこの現場でも、常にそのことは意識しています。

  • 以前の暮らしとの違いは?

以前は、郊外の住宅団地に住んでいましたから、街中に住むのは初めて。不安も大きかったですけど、住めば住むほどこの家が好きになってます。街が楽しいですね。

 

  • おぉ、「街」ですか!

前の家は向かいに家がなくて山だったんです。当時飼っていたゴールデンレトリバーは家を出るときからノーリード。山の中をだーっと走っていく、ボールを投げては走っていく(笑)。迷惑をかける人もいなかったので。

  • 街中だとそうはいきませんよね。

はい、そんなことはできませんが、街暮らしは街暮らしの楽しみ方があるなぁと。
以前と比べて車の運転が少なくなり、自転車や歩くことが増えました。スピードがゆっくりだからか、周りがよく見えるんですよね。

でも、どちらかというと妻の方が楽しんでいるかもしれません。犬の散歩をしていても、知り合いが多くてね、歩けば友達と出会うんですよ。晩御飯を食べていても、よく街の人の話題が出てきて、楽しそうにしています。

あと美観地区は私の同業者も多いんです。彼らと会って世間話をしたり、毎年クリスマスには集まってパーティーをしたり。この部屋に30人きたこともあるかなぁ。

 

  • にぎやかで楽しそう。

でしょ(笑)。
これは、あくまでも私の場合の話なんですけど、家づくりをする上で住む場所(周りの環境)は、とても大事な要素の一つなんじゃないかと考えるようになりました。それによって暮らすことが楽しくなる、そんな可能性を秘めているような気がするんです。

「住めば都」という諺もありますが、もし土地から自由に決めることができるのなら、自由に選べる環境にあるのなら、子どもさんの学区や駅の近く、そういった不動産的情報だけでなく、雰囲気も含めてその街自体が好きですか?と、よく確認するようになりましたね。

  • そうなんですね。

あと、自分の中で変化したのが、暮らすことへのリアリティですかね。言葉にするのが難しいんですが、以前はもっと恰好良さを優先していたのかもしれません。今は、実を優先するようになったかもしれない。恰好じゃなくて、暮らしやすさ、使いやすさ。そうそう、派手さはいらないんじゃないかな、と。

 

  • そういえば、髙見さんが学生の頃にあこがれていたのは、きらびやかな商業建築(店舗設計)だったんですよね。年月を経て、変化したんですね。
    それにしても、外は寒いのにこの部屋の空気は暖かいです。OMソーラーで床暖房だから?

朝起きても暖かいんですよ。今朝が16℃。先日の大寒波(1月26日)のときは13℃に下がりましたけど、冬でもほとんど15℃以下にはならないので布団は一昨日まで夏布団でした。

 

  • 快適ですね。

前の家は朝、ファンヒーターのスイッチをつけたら5℃と出てましたけど(笑)、今はがばっと起きれます。もちろん3階には暖房はないです。

  • ご自邸はマイホームを計画中の方が見学に来られることも多いと聞きました。

ショールームとして見に来ていただいてます。年数が経って古くなってきたからどうかなぁと思っていましたが、築10年超えるとどうなるのか見たいという方が多くいらっしゃるんですよね。
そういえば、住宅ではないんですが、設計コンペでこの自邸のリビングルームでプレゼンをしたことがあるんです。

 

  • 住宅ではない物件?

さて、何でしょう(笑)?

  • イキイキとした表情で街暮らしの楽しさを語ってくださった髙見さん。ご自邸のリビングルームでプレゼンを行ったという設計コンペのお話、興味深いですね。

つづく・・・4回連載 最終回「みんなの笑顔が見たくて」は3月28日UP予定です。

2016年1月 取材
文:松田祥子

← 2. HOME(ホーム)に触れる

4.みんなの笑顔が見たくて →

 

株式会社 FOMES design

岡山県倉敷市本町9-18 Tel.086-423-5488
http://www.fomes.net