4.すべてがきちんと「納まる」ように

ARTBOX建築工房一級建築士事務所
野田 大策さん

 

2019.09.09

 


 

野田さんに、ご自宅の細かな部分について尋ねていると、「納まる」という言葉がよく出てきます。建築で「納まりが良い」とは、建物を構成する部材の接合部分がきれいに合っていることです。どうやら、この「納まり」が、野田さんのこだわりとなっているようです。

 

良い家は細かな部分が
「納まっている」。

 

― 設計をする段階で、もっとも気にされていることは何でしょうか。

僕は、家づくりにおいて、間取りはそれほど大きな要素ではないと思っています。
枠とか、細かい「納まり」をきっちり設計すれば、家は良いものになると思っています。

― 細かい「納まり」というのは?

「納まり」とは、ディテールがきれいになっていることです。
例えば、既成品の扉をコーナーに付けようとすると、少しだけ壁が必要となる場合があるんですが、そういうのを無くして、コーナーが納まるようにするとか、そういったことです。

内藤(廣)先生がこちらに審査に来られた時、「納まっている」と言ってくださって、それ以来、僕もその言葉をよく使うようになりました(笑)

― 見るからに「納まっている」ことと、機能的に「納まっている」こと、その両方があるということでしょうか。

そうだと思います。きれいに佇んでいるといったような、視覚的に「納まっている」という意味ももちろんあると思います。
それと設計上で言えば、細かいところがきちんと構成されているということだと思います。
既製品はもうすでに納まる様に作られていますが、無垢材や現場制作の建具、家具をきれいに佇ませるために、より良い納まりを考えて考えて図面化しています。
それが建築家の腕の見せどころではないでしょうか。

内藤先生がここに座って、「安心して見ていられる」と言ってくださったのは、嬉しかったです。

― こちらのご自宅が、日本建築家協会の「第10回JIA中国建築大賞2018」住宅部門大賞を受賞されたんですよね。
こちらで審査があった時のことですか。

そうです。選考には現地審査があって、審査委員長の内藤廣先生をはじめ楢村徹先生、村重保則先生、前田圭介先生、その他JIA会員の建築家の方々が来られました。
内藤先生が本棚にある前田先生の本を見つけて、「サイン、書いてもらいなよ」って言ってくださったんです。
内藤先生の本は事務所に置いていたので、ここに持って来ておくべきだったと思いました。


 

庭の植木の成長と
ここで暮らす楽しみ。

 

― 野田さんが、ほっとする時間はどんなときでしょうか。

子どもたちが庭を走り回っているときです。「見て見て〜 虫がいる〜」って(笑)。

― スノーボードがご趣味だそうですね。

毎週土・日に出かけています。
オフシーズンは、兵庫県にある人工芝のゲレンデを滑って、ジャンプして、プールに飛び込むんです。
その浮遊感は気持ちいいです。「今、鳥になってる」、っていう(笑)。

 

― ご自宅にいらっしゃるときの楽しみは、どんなことですか。

最近は庭の植木の芽吹きを見ることと、心配することです。
2年前の、木を植えた最初の年に、葉が落ちて、その後、芽吹いた時にはモッサモサになりました。
こんなになるのかって思ったんですが、自分で剪定したり、草を抜いたりして。
子どもたちが、庭の空いている場所に花を植えたりするのがいいですね。

 

 

 

2019年5月 取材
文:尾原千明

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