2.趣味のこと。
土岐建築デザイン事務所
土岐一嘉さん
2014.11.10
― 事務所のブログ、とても楽しいですね。
たまに綴られる、仕事以外の話にも興味を惹かれます。
ごはんのこととか、アウトドアでの遊びの話とかも(笑)。
そうですか?
― たぶん、土岐建築デザイン事務所に関心を持たれる方って、建築作品のみならず、
土岐さんのプライベートの趣味、ライフスタイルに共感してという場合も多いんじゃないでしょうか。
うーん、あまりそれを意識してネタにするわけじゃないですけどね。
建築事務所だからもちろん建築を一生懸命やるんだけど、でもガチガチにそればかりというわけじゃなくて、
暮らしの中でのいろんなことを楽しみながらやっている。
その感じが、ブログを通じて自然に伝わるといいなと思います。
― 手掛ける建築と、ご自身のライフスタイルとは、分けては語れないものだと思うんですね。
というわけで、オフの時間のお話を伺いたいな、と。
まずは趣味のお話から…。
いろいろあるけど、カヤックとか、キャンプとか、自然の中で過ごすのが好きです。
カヤックはダウンリバーカヤックっていって、急流をザブーンって下ったりするような、けっこうアグレッシブなものを。フリースタイルカヤックもやっています。
キャンプは山にも行くけど、主には海や川。何日もカヤックをするから、そこに泊るしかないという…。
カヤックを引いてフェリーで島に行くんです。島では車は邪魔だから、港に車を置いて。
島でカヤックをやって、テントで寝て、また次の島に渡るみたいな、そういう旅が好きですね。
― 楽しそうですねえ。仲間とワイワイやったり?
いや、海はほとんどひとりで行くんですよ。
若い頃は仲間と一緒も良かったんだけど。音楽の話とか、これからの仕事のこととか、そういう野心的な会話もできたから楽しかったんですが、
だんだん歳をとってくると、話すことっていったら結局世間がどうだとか、会社がどうだとかね。
そしたらせっかくこんなとこまで、何しに来たのかってなるじゃない。
― ああ、わかります(苦笑)。
ひとりで浜で焚き火なんかしてると、大抵誰かにつかまるんですよ。
地元のおじいさんとかが、「なにやってんだ」って。
で、「ワシはこの島でどうでこうで…」とか、たわいもない事をずーっと話して止まらない(笑)。
だからまあ、「そうなんですかー」って相槌を打ちながら、1杯注いであげたりして。
― 一緒に飲むんですね(笑)。
人が去ったら、またひとりで焚き火の前で、音楽を聴いたり、ちょっと食べるものを作ったり。
何日も遠くに行って疲れるといえば疲れるのに、なんで旅に出るんだろうね。
でもそうやってひとりで時間を過ごして、自分の中でなにか切り替えているのかもしれない。
― 静かに自分と向き合える時間って、日常の中ではなかなか難しいものですよね…。
休日出かけるだけでなく、仕事前に「朝活」をやっていると伺いました。
龍ノ口山に登って、山頂でコーヒーを挽いて飲むのが日課とか。
朝の山登りは、基本的に冬ですね。夏の今は、朝はカヤックや畑をやってます。
きゅうりやトマト、玉ねぎ、ジャガイモなど年中いろいろ作ってますよ。
採れた野菜を料理して、所員と一緒に食べたりもします。
― 料理もすごくお好きなんですよね。
料理は好きですねえ。
自分の作ったもので人に喜んでもらえるのがうれしいし。
料理と建築って似てるんですよ。素材がこれとこれだけあって、基本のレシピがあって、あとは自分のアイデアひとつで創作できる。
建築も同じところはあるんじゃないですかね。
― 材料とか相手の嗜好とか諸々の条件の中で、自分の裁量でより良いものを創造する楽しさですね。
これとこれを合わせたらこんな味になるんじゃないかとか、想像しながら作る中で、ハッと新しい概念が浮かんできたりする。
なにかしら気づくことがあるんですよね。
それから、例えばじゃがいもがいっぱい獲れたときは、所員みんなに分けて、「明日1品ずつこれでなんか作って来てね」って言って、持ち寄りランチをするんです。
同じ材料でそれぞれ違う料理になって集まってくるのが面白いし、あれこれ言いながら食べるのも楽しいです。
― 事務所のみなさんで一緒に楽しんでますね。そういう雰囲気、なんともいいなあって思います。
つづく ・・・ 4回連載 次回「3.暮らしと「もの」のこと。」は11月17日UP予定です。
2014年8月 取材
文:吉田愛紀子
(有)土岐建築デザイン事務所 岡山県岡山市中区祇園941-3 Tel.086-275-2802 http://www.toki-ad.com/