第7回 3.ゆらゆらハンモック時間

2016.07.18

 

 

 

〈住み始めて10年になるという住まいにお邪魔しました。玄関から階段を上がると目に入る木の枝のオブジェ。逆さに吊ってあるだけなのにかっこいい。本棚には金のカバがちょこん、テーブルには多肉植物。どこを切り取っても絵になるユニークな空間。楽しい!〉

 

――:この家は自分で建てたんですか?

 

永野さん:いえいえ、建物は工務店さんにお願いしたんですが、中の建具は全部自分でやりました。この本棚も本を増やすならつくりなさい、と言われて(笑)。

 

――:いろんな本が並んでます。「自然断面図鑑」「小屋の力」「廃墟遊戯」など、興味深いタイトル。床も10年の月日が感じられて、いい風合い。あ、家の中に自転車がありますね。

 

永野さん:折り畳み自転車です。車や電車に乗せて、現地を回るとき用の。

 

 

〈佳恵さんがお茶とお菓子を準備してくれました〉

 

――:ありがとうございます!いただきます。

 

〈あいかわらず、うれしそうにみんなの周りを動き回っているプーリー。突然、窓の外を見て、吠えだしました〉

 

佳恵さん:子どもを見ると気になるみたい。

 

――:本当だ。道路に小学生の姿を発見。

 

編集:プーちゃんの後ろ姿、かわいい。足の開き方が絶妙で…

 

 

佳恵さん:頭が大きいね(笑)。プーちゃんは写真を撮ろうとしたら近づいてくるから、ちゃんと写真が撮れないんだよね。

 

 

永野さん:プーちゃん、はい、持ってきて!

 

〈永野さんの命令を聞いて新聞を持ってくるプーリー!〉

 

――:賢いですね。

 

永野さん:唯一できるお手伝い(笑)。スタンダードプードルは、レトリバーと一緒で獲物を取りに行く犬種だから、ものを持ってきたりするのがすごく好きなんです。だから、新聞持ってきて、と言ったら、優しく噛んで持ってきてくれて、いい子だねと褒めたらうれしくて、どんどんやってくれる。

 

佳恵さん:実はこっそりと移動させるのも好きで、くわえているときは口に隠してうろうろするんだけど、ずっと尻尾を振って歩いているから丸わかり(笑)。あっちで脱いだスリッパは、そっちに2つ揃えて並べるんよ。

 

――:すごい。整理整頓ができるんだ!

 

 

――:ところで、家にいる永野さんの姿ってどんな感じですか?

 

佳恵さん:毎日、ハンモックでゆらゆらしてる(笑)。

 

永野さん:そうそう、家に帰ってきたら、こっちの木に巻き付けて、柱に結んで…

 

編集:この紐、ずっとなんじゃろうか?と思ってたけど、まさかハンモックの…

 

永野さん:そう、その紐に結んだら、ハンモックの出来上がり。

 

――:ゆらゆらが好きなんですね(笑)。

 

佳恵さん:でも、落ちたよね、1回。寝てて。

 

永野さん:紐がゆるんで、かな。

 

佳恵さん:「絶対にこの結び方だとゆるまん!」と言いながら、ずるっと(笑)。毎日、テレビ見ながらゆらゆらして、眠くなったらささっと片付けて寝てます。

 

――:片付けるんですか? こまめですね。

 

 

永野さん:家に帰ってきたらソファの位置が変わってることがあるんです。その度にハンモックの巻き付け位置を変えんといけんから(笑)。

 

――:佳恵さんは模様替えを頻繁にするんですか?

 

佳恵さん:うん、うずうずしてくるので(笑)。

 

永野さん:帰ったらソファの位置とか変わってること多いですよ。だいたいいないときに。

 

佳恵さん:いるときにすると、途中で気になって、何か言われたらいやだから。

 

永野さん:言わんわー、何も(笑)。

 

佳恵さん:だから、みんなが寝静まった夜中にすることもあります。

 

――:え? 朝起きたら、部屋が変わってる?

 

永野さん:そういうこともあった(笑)。

 

佳恵さん:でも、みんな何も言わんよ。

 

永野さん:またやったんかーという感じで、もう慣れとるからじゃない。

 

――:おもしろい。お二人、似たもの夫婦かも(笑)。

 

 

佳恵さん:そういえば、夜、ハンモックで寝に行くキャンプっていうのもあったよね。

 

永野さん:そうそう、ハンモックを買ったばかりの頃、これで寝てみようと思って。友人と近所の山に。東屋の柱に掛けたら、ちょうど眠るスペースがあって。

 

――:本当に寝に行っただけ?

 

永野さん:夕方から出発してハンモックをかけて、ご飯を作って食べて、ハンモックで寝て。その日は日曜だったから、翌日は山から仕事場に行ったんです。

 

――:月曜の朝、山から出勤?

 

永野さん:そう。その日しか休めん、と言われて

 

佳恵さん:確か月曜は大雨だったんよ。

 

 

――:ワイルドな話ですね(笑)。いつも活動的な永野さん。元気のない姿が想像できない…

 

佳恵さん:あ、でも、鞍馬山(京都)に行ったときは元気なかったよなぁ。

 

永野さん:そうそう、その頃、なんか気持ちが上がらなくて、正月二日に、よし、鞍馬山に行こうって。

 

――:そこは京都に行っちゃうんですね。

 

佳恵さん:鞍馬山でお正月だけに配られるものがあるんです。それをもらいにいったらいいことがあるかもしれないと…

 

――:行って、復活しましたか?

 

永野さん:それはよう分からんけど(笑)。欲しかったものは、あれです。鞍馬の狛犬って虎なんです。お正月でないともらえないから。

 

 

――:ほんと、鞍馬山って書いてある…

 

佳恵さん:でね、それにはまだ続きがあって…お昼だからご飯を食べて帰ろうかと、つけもののお土産屋さんに入ったら、このお札が壁に飾ってあったんです。

 

永野さん:近くのお店を改修してたら木版が出てきたんですって。その木版を刷ったのがこれ(お札)。すごく昔のものだと思うし、いいなぁ~、かっこいいなぁ~と言っていたら、いる?という話になって…くれました(笑)。

 

――:それこそ、普通では手に入らないものですね。

 

佳恵さん:行く先々で喋って、なぜか気に入られて、手に入れたものが結構あるかも(笑)。

 

 

永野さん:あ、でも、この『暮らし上手さん』で、これだけは言っておかないと…。暮らし上手さんでもなんでもないし、全然おしゃれでもないし。

 

――:そうなんでしょうか。

 

佳恵さん:そこは声を大きくして言いたいです(笑)。

 

永野さん:好きなものが周りにある、それだけで。食べてるものも、ごく普通のものとか、缶詰とかだし。

 

佳恵さん:缶詰の日、あるねぇ。徹底的に缶詰を開けまくる日もあるし、キャンプご飯を試す日というのも。あの辺からいろいろ出てくるよ。

 

永野さん:これ、キャンプ道具の一式(笑)。

 

 

――:家でも使うんですか?

 

永野さん:時々。最近、おいしかったのがサバの水煮の缶詰。ご飯と一緒に炊くんです。しょうがひとかけ入れて、だしを入れて、サバの缶詰をどーんと上に乗せて炊くだけ。

 

――:臭みはないですか?

 

永野さん:全然。

 

佳恵さん:奇跡じゃったなぁ。

 

永野さん:いや、奇跡じゃない。普通においしいんじゃって(笑)

 

〈あとで知りましたが、永野さん、近くの猟師さんからもらった鴨をさばいたり、山陰で釣ったホシザメを料理したり、といった日もあるらしい。ワイルドなアウトドア料理と力の抜けた缶詰ごはん、そのアンバランスがおもしろいです〉

 

 

つづく・・・4回連載 最終回「4.ダムカード、もらってきます。」は7月25日UP予定です。

2016年6月 取材
文:松田祥子
キャプション:編集A

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