第1回 4.クルマのたのしみ。

2014.12.22

 

 

――:おうちでこんなに楽しくおいしくごはんが食べられたら、ほんとに幸せですね。

 

松井:うん。家でゆっくり晩ごはんを食べて、ビール飲むのが最高。

 

――:松井さんにとっても、やっぱりこのひとときが一番の楽しみですか?

 

松井:あーいや…、なにが一番かといわれると、それはやっぱり車ですよ!
この家だって、ガレージが気に入って決めたぐらいだから。
車好きってもいろいろあると思うんだけど、特に古い外国の車が大好きで。
シトロエンをAX、BX2台、エグザンティア3台乗り継ぎ、今は赤のボルボと、
奥さん名義ですけどシトロエンの2CVを持ってて大事に乗ってます。

 

 

千田:私の2CVだよ。

 

――:結局千田さんも、すっかりフランス車にハマっちゃったんですよね。

 

松井:まんまとね(笑)。

 

千田:初めて松井さんの車を見たときは「なんだこれは?!」って思ったんですけど。
でも、知れば知るほど好きになりましたねー。

 

 

――:…すいません。車については私、セルフ給油がやっとのレベルで。
ええと、松井さんにとって、その2CVの魅力というのは……。

 

松井:それ聞いてくれる?

 

――:いえ、やっぱ今の質問なしで。半端な気持ちで参入しようとして失礼しました(笑)。

 

(編集):そんな壮大なテーマに答えようと思ったら、1日語り倒しても足りないでしょ。話終わるまで帰らせてもらえないよ(笑)。

 

松井:語りましょうか(笑)?

 

――:あっいや、あの、じゃあ野暮なお願いを承知で、300字ぐらいにまとめてお願いします(笑)。

 

 

松井:うーん・・・・・・・・・・・。
だめだ、言いたいことがありすぎて無理!助けて~。

 

(編集):(笑)。
そうですねえ。私だったら、すっごく要約して言うと、
オートマ車飛ばして行くより自転車こいで行くほうが気持ちよくて好き、みたいな感じ?
2CVは目的地に早く着くための手段というだけじゃなくて、その過程自体を楽しめる乗り物かな。

 

松井:おお、すばらしい解説!
― そう、季節に近いっていうのかな。
ドライブしていて、空気の感じを直に感じられるのが気持ちいい。

ああ~、でも全然それだけじゃなくて、車そのものがめちゃくちゃかわいいから!
このおもちゃみたいなドアノブなんて見てよ。

 

――:かわいいですよね!
見た目がレトロでかわいいっていうのももちろんだけど、
なんかこう、ドアを開けるにもいちいち手動で「ガチャッ!」っていう、
ローテクな感じがかわいい。

 

松井:そうそう。窓の開き方だって変だし。
なんか間が抜けてて、ヘンテコで、ぜんぜんスマートじゃないんですよ。
それがもういじらしくて!

 

 

――:萌えるんですね(笑)。その感じはすっごいわかります。

 

千田:あっちこっちすぐ壊れるし。路上で急に動かなくなったことも何度もあるよね。

 

――:それは焦りますね!聞いただけで冷や汗出そうです。

 

千田:でもそれもだんだん気にならなくなるんですよ。
逆にかえって愛しさが増すみたいな。ヤバいですよね(笑)。

 

松井:今の車はおりこうさんだから自動で止まってくれたりとか、至れり尽くせりの機能がついてるじゃない。
でもそんなの、壊れたってなにがどう壊れたのか自分じゃ全然わからないでしょ。
古い車のいいところは、壊れても仕組みが単純だから、自分で直せるんですよ。
あれこれ手をかけてやらないとすぐ調子悪くなっちゃう困った奴なんだけど、
きちんとやってればずーっと乗れるしね。

 

 

――:ああー、昔ながらの道具って、なんでもそうかもしれませんね。
ハイテク機械は便利だけど、すぐに価値が落ちちゃいますからね。
でも昔っからのアナログなものは、壊れても直しながらずっと使えて、
しかも古びるほど味や愛着が出てきますよね。

 

千田:そうなんですよ。

 

――:では、そんな車の中でも特にフランス車が好き、シトロエンが好きなのは、どういう理由からなんですか?

 

松井:あ~(にんまり)。

すごくムダを削ぎ落してるんだよね。
この2CVなんか、メーター類は速度計だけで、いらないものはいらないじゃんっていう。
その代わりシートはふっかふかで、乗り心地の部分にいちばんコストをかけてる。
フランスの人が、車をどういうものとして捉えてるかがわかるよね。
そういう、何に重きを置いて、何をムダと考えてるかっていうところに開発者の哲学が表れてて、美しいなあって思います。

 

千田:そうそう。

 

 

(編集):出た(笑)。哲学とか言い出したらいよいよドロ沼です。

 

松井:だね。もう誰にも止められない(笑)。

 

つづく ・・・5回連載 最終回「5.「好き」のたのしみ。」は12月29日UP予定です。

 2014年8月 取材
文:吉田愛紀子
キャプション:編集A

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陶工房ゆうらぼ

千田稚子さん、三宅史家さんの女性ふたりで開くやきもの 工房。
個々に制作・発表の活動を行いながら、 陶芸教室、 ゆうらぼとしての器展を共同で開いています。
岡山市中区藤崎497-3  tel.086-277-8076
http://ww61.tiki.ne.jp/~yu-lab/

 

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