「なんだか楽しそう!」な人たちって、暮らしも楽しそう! それってつまり、〈 暮らし上手 〉だと思うんです。
そんな人たちの「たのしい」の秘訣、聞いてみたいな・・・。 よし!会いに行ってみよう!!
思い立ったが吉日、さっそく お伺いした暮らし上手さんからは、幸せのヒントが いっぱい飛び出してきました!


今回登場していただくのは、秋岡昌彦さん・寛子さんご夫妻です。昌彦さんは木工作家でありデザイン系専門学校の教員、寛子さん はデザイン会社にお勤め。寛子さんとは以前からお仕事を通じて知り合いですが、築90年 になる古民家を自分たちでリフォームしながら暮らしているのだとか。その暮らしぶりを拝見したくてお伺いしました。(聞き手・松田祥子)

1.古民家で暮らす 『暮らし上手さんに会おう!第3回』

2015.07.06

 

 

 

――(ピンポーン)ごめんくださーい。あ、アッキー!こんにちは。

実は、わが家のベランダにあるアロエがおそろしく成長してしまって邪魔者扱いされているので、1鉢アッキー宅で引き取ってもらうことにしました。
あと、キュウリとゴーヤの苗も一緒に。プランターには5本ずつしか植えられないのに、15個も種を蒔いてしまって…。芽が出てくるとどうしても間引けなくて。

 

寛子さん:種から育てたいっていう気持ちも、間引けないって気持ちもよく分かるわぁ(笑)。

 

――この子たちをよろしくお願いします。

 

寛子さん:待ってました! こっちはモミジを準備したよ。庭のモミジの種から芽が出たもの。
コケはスギゴケとかギンゴケとかいろいろ織り交ぜてる。コケも土も庭のものなのでそのうち草も生えてくると思うよ。

 

 

――モミジ! なんと風流な。

 

寛子さん:モミジってお寺や神社に生えているイメージが強くて、庭にはなかなか生えてこないと思ってたんだけど、どこでも生えてくるんだよね。
おまけに強いんよ。裏庭にも種からどんどん芽が出てきてて、小さいモミジ谷ができてる(笑)。

 

――これ、草は抜いたほうがいいのかな?

 

寛子さん:うん。抜きたくなると思う。

 

編集A :さっそく和気あいあいと物々交換が始まってますが…きょ、今日は取材ですよね(笑)。お邪魔します~。

 

寛子さん:はぁい、どうぞ。ええっと、こっちは秋岡くん専用の玄関で、私がいつも出入りしているのは東の勝手口なんだけど、どちらからでもどうぞ…。

 

――ん? 専用入り口が2つあるってことでしょうか?

 

寛子さん:そう、引っ越してきたときからずっと鍵を作りそびれていて、そのままそれぞれの玄関として定着して。
よく来る人は自分の用事がある方の入り口を訪ねてきます。

 

――じゃあ、今日は昌彦さんの入り口からお邪魔します(笑)。

 

 

――アッキーこと寛子さんとは、私も編集さんも知り合いですが、昌彦さんは初対面ですね。今日はよろしくお願いします。

 

昌彦さん:よろしくお願いします。

 

――この家、昔ながらの日本の家って感じでとても懐かしい感じ…。

 

寛子さん:でしょ(笑)。

 

――それにとっても広い! 裏には庭もあるし、蔵もある! あら、亀も歩いてる…?

 

寛子さん:それは、うちの姉から預かったギリシャリクガメです。姉が海外に移住することになり亀は持っていけないということで、預かったの。

 

昌彦さん:もう15年くらいになります。

 

 

――へぇー、寝床は?

 

寛子さん:寝床はその辺の茂みかな。冬以外は放し飼いにしてるんよ。玄関にもニホンイシガメが2匹いるよ。この亀も最近まで裏庭に柵を囲って飼ってたんだけどね。

 

昌彦さん:亀はね、結構脱走するんですよ。意外と素早いです。粘り強いんですよね。

 

――分かります! わが家にもミドリガメが1匹いて、意外とすばしっこいんですよね。ここから脱走したら、外を探すんですか?

 

昌彦さん:先日脱走したイシガメは、裏の用水路にぽーんと飛び込んで、次の日の朝見つかりました。

 

――一晩過ぎたんだ…。心配でしたね。

 

寛子さん:夜に懐中電灯で探してもいないから、川に逃げていたら見つけるのは難しいなぁと思ったんだけど、次の日の朝もしかして…と見てみたら、石積みにへばりついてた。

 

 

昌彦さん:今まで2回ほど逃げたけど、前も確かへばりついてたような(笑)。

 

――あははは(笑)。

 

寛子さん:亀はかわいいからみんなハマるよね。ささ、座ってください。

 

編集A :お土産にパンを持ってきたので、どうぞ。

 

寛子さん:ありがとう! お菓子もあるよ。食べましょう!

 

――わーい。では、パンをいただきながら、おふたりの略歴を少し。
…昌彦さんは専門学校の教員で、木工作家さん。アッキーはデザイン会社の社員さん。

 

寛子さん:松田さんとは、雑誌「暮らしき」(※)で知り合ってからのつき合いだよね。

 

 

――でも、古民家に住んでいることを知ったのはつい最近…。今日を楽しみに待ってました。
この家は築何年くらいなんでしょうか?

 

昌彦さん:築90年くらいですね。棟木に大正11年に建てられたってちゃんと書き残してあるんです。

 

――おぉ、すごい。この家に決めるまでに、物件を100軒くらい回ったとお聞きましたが、どんな基準があったんでしょう?

 

昌彦さん:僕が木工をするので周りに家がなくて、離れの建物があるようなところが理想だったかな。木工は機材も多いし、機械の音も大きくてうるさいんですよね。

 

――なるほど、そういう事情があるんですね。

 

昌彦さん:新築を建てることは考えてなかったので、中古でちょっと広めで、日本家屋みたいなのが好き、というのもあったかもしれない。
でも、場所はいいけど建物が、とか、建物はいいけど場所が、とか、なかなか条件に合うところがなかったんですよね。
そういう意味では、場所を決めて新築を建てるのが一番いいかもしれません。

 

――でも新築だったら、ここまでいい味は出ないですよね。情報収集はネットや本で?

 

昌彦さん:田舎物件というサイトを見たり、どこかでかける度にいい物件はないかなと、運転しながらキョロキョロ見回したり。

 

寛子さん:お互いが、あそこにいいのがあったよ、ここにいいのがあったよっていう情報を持ち寄って、「あ、それ知っとる!」みたいな。

 

 

――あ、お互いが見に行っていた?(笑)。

 

寛子さん:家を探していた期間は、友達が中古住宅を買ったら、「あれかな」とだいたいわかる、という(笑)。

 

――すごい(笑)。この家に決めるまでには何年かかったんですか?

 

昌彦さん:確か3、4年ですね。

 

――それだけ見て、この家に決めた理由は?

 

寛子さん:工房になりそうな建物はなかったんだけど、ぱっと見て「住めそう!」と思ったのと、目の前に田んぼが広がっていたり、家が広かったのがよかったのかな。

 

昌彦さん:ここは元々田んぼゾーンだったんですよ。今、それがだんだんと住宅地が広がってきて、ちょうど市街地の境目くらいになってます。
6年前に引っ越してきたときは、集落の家は10軒くらいで、30年ぶりによそから人が来たということで…

 

――それは喜ばれたことでしょう。こんな若いふたりが(笑)。町内の集まりにも参加してるのかな?

 

昌彦さん:参加します。最初メンバーは60代の人ばかりでしたね。

 

寛子さん:引っ越してきた当時は珍しかったせいか、近所の方が散歩がてら訪ねてくることが多くて。
ここの家は集落の中でも古く、本家のような存在だったらしくて。だから、ご近所さんはより気になったんだと思う。

 

――わ、本家だったんだ。確かに家が広いもんねぇ。蔵もあるし…

 

寛子さん:だから、ご近所のみなさんこの家の間取りをよく知っていて。それこそ、この家で法事とかやっていたんだろうね。
家をなおした後に上がってもらったこともあったんだけど、「こんなんになったんじゃなぁ」としみじみ言われて(笑)。

 

 

――ご近所づきあいも始まったんだね。

 

寛子さん:日中は仕事に出ているからあまり会えないんだけど、帰ってみたら玄関に大根とか置いてくれてる。

 

――ええ~!

 

寛子さん:最初は誰がくださったのか分からなかったんだけど、だんだん分かってくるんだよね。この大根は隣のおじいさんかなぁって。

 

――ほのぼのしてて、いいなぁ。

 

寛子さん:うん。カワガニ(モクズガニ)をいきなりくださったりとか。かち割って味噌汁に入れて食べたらええよって(笑)。

 

――おお、ワイルド!

 

寛子さん:渋柿を「干し柿とか作るのが好きじゃろう」って、毎年きれいにヘタを残して持って来てくださる方がいて、もうお母さんみたいで、ありがたくて。

 

――もらってくれる人がいるのも嬉しいんじゃないのかな。

 

寛子さん:今は何もこちらから返せてないので、栗の木を植えたから、実がいっぱいなったらそれでお返しをしようと思っていて。
家の周りに栗の木を見ないから、栗なら誰ともかぶらないはずだと思って(笑)。

 

――「桃栗三年柿八年」っていうもんね。もう実はなってるの?

 

寛子さん:毎年実はなるんだけど、3つとか。 来年はなるだろうと思いながら、早5年(笑)。

 

 

――これからの頑張りに期待だね(笑)。…それにしても、いい風が通り抜けていくなぁ。

 

寛子さん:もう少ししたら田んぼに水が入って窓を開けていると本当に気持ちがいい。だから、つい開けっ放しにしてて、あっちこっちの猫が入ってくる…。

 

――えー、入ってくるの?

 

寛子さん:何回も(笑)。二階から猫が覗いていて目があったり、縁側でゴロンゴロンしてたり。

 

――そりゃ、すっかりくつろいでるわ…。そっか、自分の好きな場所を知ってるんだね。

 

寛子さん:たぶんその猫は私たちより前からここに出入りしていたのかな。私たちの方が後から来たから、あまりこちらを気にしてない、というか…

 

――普通にしてるんだ。

 

寛子さん:そう、普通にしてる。

 

 

――あ、雨が降ってきた。カエルの鳴き声が聞こえてきたね。

 

寛子さん:カエルの声、いいよなぁ。

 

――田んぼに水が当たったらカエルの鳴き声もすごいでしょう。うるさくない?

 

寛子さん:安心する…。

 

昌彦さん:夏はセミがうるさいですね。

 

――あぁ、庭木がいっぱいあるから。

 

 

寛子さん:そうだね、1本の木に何十匹と並んでるの。セミの縦列駐車みたいな感じで。ミーン、とかじゃなくて、ジャンジャンジャン鳴き続ける…。

 

――あははは(笑)。家の壁に1匹とまって鳴いてるだけでもうるさいもんね。

 

寛子さん:ホースで水をまいたら、ジッて一瞬飛んでいくんだけど、また戻ってくるから…(笑)。

 

昌彦さん:南に大きなケヤキの株立ちがあるんですけど、あそこは特にうるさいですね。そういう意味で、カエルの声は全然大丈夫かな(笑)。

 

――カメ、猫、カエル、セミ…古民家でのほのぼのとした暮らしぶりが見えてきたよ(笑)。

 

つづく ・・・4回連載 第2回「2.なおしながら暮らす」は7月13日UP予定です。

(※三宅商店発行/寛子さんはデザインを担当)

2015年5月 取材
文:松田祥子
キャプション:編集A

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2.なおしながら暮らす →

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