「なんだか楽しそう!」な人たちって、暮らしも楽しそう! それってつまり、〈 暮らし上手 〉だと思うんです。
そんな人たちの「たのしい」の秘訣、聞いてみたいな・・・。 よし!会いに行ってみよう!!
思い立ったが吉日、さっそく お伺いした暮らし上手さんからは、幸せのヒントが いっぱい飛び出してきました!


今回登場していただくのは、秋岡昌彦さん・寛子さんご夫妻です。昌彦さんは木工作家でありデザイン系専門学校の教員、寛子さん はデザイン会社にお勤め。寛子さんとは以前からお仕事を通じて知り合いですが、築90年 になる古民家を自分たちでリフォームしながら暮らしているのだとか。その暮らしぶりを拝見したくてお伺いしました。(聞き手・松田祥子)

4.自分流に暮らす 『暮らし上手さんに会おう!第3回』

2015.07.27

 

 

――キッチンのテーブルには昌彦さんの試作品であるお皿が置いてありました。

 

寛子さん:これを適当に使い分けてね、と言われてお試し中。秋岡くんの試作品だそうです。

 

――ちょっとずつ大きさが違う4つの器が入れ子になるスタッキングですね。使い勝手よさそう。

 

昌彦さん:よく同じ大きさが積み重ねてあるけど、例えばこれを一人分の皿というように編集してみたらと思って作ってみました。お一人様、セットで買ったら生きていける(笑)。

 

――確かに家族みんなが同じ大きさじゃなくてもいいかもしれない。それぞれ何を盛り付けようか、想像巡らせるのも面白そう。

 

 

――それにしても、この家落ち着くわ。初めて来たとは思えないくらいリラックスしてるかも。

 

寛子さん:私が子どもの頃から住んでいた実家も、ここと同じ築90年弱の平屋で。家の間取りも一緒だし。

 

――じゃあ、アッキーにとっては何年かして振り出しに戻ったというか、落ち着くところに落ち着いた感じ?

 

寛子さん:そうだなぁ、結局戻ってきたのかも。最初は二階の屋根裏があるのが嬉しかったけど、結局使ってないし(笑)。昔はおじいちゃんが家のいろんなところをなおしてくれていたのを、今は自分でなおすようになった。そこが変わったところかな。

 

――(笑)。成長してる。

 

寛子さん:この食器棚にある器も、私が子どものときから実家で使っていたものと同じのを、母が持たせてくれたものだったり。

 

 

――お母さんが持たせてくれたんだ!

 

寛子さん:そう、三姉妹なんだけど、わたしたちが大学や結婚で家を出るのをきっかけに それぞれに同じものを母が持たせてくれて。もらったときに説明はなかったけど、青いコップはあとで思えば 倉敷ガラスだったり、この戸棚にある酒津焼の湯のみも小さい頃から実家で使っていたものと同じで。 家で普通に使われていた器が倉敷のものだって知ったのは最近になってからかな。

 

――わー、なんだかいいねぇ。家で普通に使っていたものが、手仕事で作られていたものだったって。

 

寛子さん:うん。今になってみるとすごくありがたいなぁと思う。

 

――そのことをお母さんに聞いたことは?

 

寛子さん:母が少しずつ集めていてくれていたことは、私が高校を卒業するまで知らなくて。そのときは、すごく面白い発想だなぁと思った。これが、姉、私、妹と出て行く順番に渡されていくんだと思うと…。

 

――お姉ちゃんがもらっているのを見たことは? 発表はなかったの?

 

寛子さん:うーん、発表とかはとくになくて、姉や妹のところに行ったときに、あれ、私も似たようなもの持ってるなぁと思ったら、それが母からのものだった。

 

――おぉ、そのときにはじめて知る、みたいな。

 

 

寛子さん:姉のところも妹のところも器に限らず似たようなものを持ってたりするなぁ。料理の味付けが似てるような感覚?

 

――お母さんからの暮らしのキホンが体に染み込んでる感じだね。そうそう、アッキーはスプーンを作るという話も聞いたんだけど…

 

寛子さん:そうそう、「なおせる」の延長で、スプーンも自分で作ってみようと思って。

 

――それは昌彦さんに習って? 

 

寛子さん:いや、特に教えてもらってないから出来上がりは見ての通り。きちんと作っている人からしてみたら、何じゃこりゃ、という出来だろうけど、まぁ家で使う分ならいいかなと思って。

 

――確かにそうだけど、自分で作ってみる、という発想になるところがアッキーらしいというか、面白いなぁと思う。どれくらい前から?

 

寛子さん:3、4年前からかな。

 

 

――1本つくるのにどれくらいかかるの?

 

寛子さん:最初の1本目は、6時間とか8時間かかった気がするけど、慣れてきたらそんなにかからないよ。

 

――大きいのから、小さいのまで。

 

寛子さん:これは削ってたら、小さくなったの(笑)。同じものを同じようにたくさん作るのは大変なこと。だけど家で使う分にはいいかなと思って。自由にできるでしょ。

 

――最初って四角い木なんだよね。木は昌彦さんの工房で?

 

寛子さん:そうだね。家から5分くらいのところに工房があって、そこで手に入るから(笑)。

 

――スプーンの形にするためには、ひたすら削るの?

 

寛子さん:うん、最初は小刀でひたすら削って作っていたけど、少し慣れた頃から糸鋸を使ってある程度形を削り出した後に小刀で仕上げるようになったなぁ。小刀があれば誰でもできる。これも、草取りと同じで無になるよ。いろんな人が作ったスプーンを見たり、使ったりして、あぁこんな形になってると使いやすいのか、と思ったり。わたしは分厚い方が食べやすいかなとか、カーブもいろいろあるし、見てるのと、食べてみるのと全然違うなあ、自分で作ったスプーンは、なんて使いにくいんだろうと思いながらいろいろ試してみてます。(笑)。

 

 

――ええと、あっちもこっちも至るところに石があるんだけど…もしかして石好き? どちらが?

 

寛子さん:私の方です(笑)。

 

――どこかで拾ってくるの?

 

寛子さん:うん、どこかしらで。

 

――どんな風に使うの? 置物? それとも何かの重しに?

 

寛子さん:いや、何も使ってないなぁ。手で触る、みたいな(笑)。この形いいなぁって。

 

 

――ほぉ、河原で拾ってくるの? そんなにきれいな石が転がってるのかな?

 

寛子さん:あるんだよ〜。これは高梁川。石がいっぱいあるところがあって。これは高梁川の水江の渡し船のところで。

 

――へえ~。

 

寛子さん:どこに行っても石を探してしまいます。例えば高知に行ったら高知の石、県北に行ったら県北の石。石って拾う場所でも全然違っていて…

 

――そうなの! その川によって?

 

寛子さん:そうそう、高知の石なんて全然違うよ。ほら、石に白いラインが入ってる。

 

 

――わぁ、おもしろい。今度出かけたら、石を拾ってみたくなった…。
それにしても、車の音もしないし、とても静か。おまけに涼しいね。アッキーはたいがい台所で過ごしていると言っていたけど…

 

寛子さん:うん。台所で本を読んだり食べ物をこしらえていることが多いかなぁ。

 

――昌彦さんはどこに?

 

昌彦さん:夏は畳の方が涼しいから畳の上でゴロゴロして、冬は暖房の前でゴロゴロして(笑)。季節によって居心地がいいところが変わるので…。

 

寛子さん:確かに秋岡くんは季節にあわせて移動してるかも(笑)。

 

 

――入り口も庭もそれぞれ担当があって、それぞれの場所で好きなことをして過ごす。いい夫婦の距離感だなぁ。そうそう、おふたりともB型なんですよね。実は私もB型で…。

 

編集B :こちらもB型1人います(ニヤリ)。

 

――今日は圧倒的にB型優勢(笑)。なにかと「B型だからね」と言われがちな、肩身の狭い血液型なので。

 

寛子さん:そうそう、私、A型にちょっと憧れがあって、ポイントカードに「A」と書いたことがあって…。「そういうことをするのがB型なんよ」と言われました(笑)。

 

――あははは(笑)。でも、ちょっと憧れる感覚は分かるなぁ。B型はよく話を聞かないと言われますが。

 

寛子さん:うちはお互いに聞いてないからね。

 

 

――B型は頭の中で会話しているので、先走って話がコロコロ変わっていくことが多いんだよね。だいたい自分の好きなことをしゃべってるような気が…。ふたりで会話になってる?

 

寛子さん:たぶん会話になってないと思う。

 

昌彦さん:…会話になってないと思います(笑)。

 

寛子さん:いろいろ喋って、それで返事がなくても平気。

 

編集A・唯一のA型:ええー! 平気になるのがすごい(笑)。

 

寛子さん:そう、平気よ。例えば、本を読んで「これすごいよなぁ」と話しかけて、それで何にも返事がなくても、「うん、これはすごい」で終わることができる。

 

――(笑)。自分で相づち?

 

寛子さん:うん。「これは本当にすごいわあ」で、本を閉じる。そこにあんまりショックはない(笑)。

 

 

――でも、家のリフォームの相談とかは?

 

寛子さん:私は木工の加工はよく分からないので、こういうのはどうかな、とざっくり。

 

昌彦さん:こういう風にする、ということは伝えますが…

 

寛子さん:意見が合わないまま進んでも、最初からこまかく一致させてないから、出来上がりに対して何か言うことはないかな。

 

昌彦さん:うん、そこまでの隔たり(価値観の不一致)はないと思う。

 

 

寛子さん:お互いにこまかいところにはあまりこだわらないからなあ。

 

昌彦さん:長いつき合いになってくると、ここで相談すると面倒になるから省略したりもう少ししてから言おうみたいな知恵がついてきますね。

 

――(笑)。そんなふたりの手によって、この家は進化し続けていくんだろうねぇ。これからの秋岡邸に乞うご期待! 本当に今日はありがとうございました。

 

昌彦さん・寛子さん:また遊びに来てね。

 2015年5月 取材
文:松田祥子
キャプション:編集A

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