「なんだか楽しそう!」な人たちって、暮らしも楽しそう! それってつまり、〈 暮らし上手 〉だと思うんです。
そんな人たちの「たのしい」の秘訣、聞いてみたいな・・・。 よし!会いに行ってみよう!!
思い立ったが吉日、さっそく お伺いした暮らし上手さんからは、幸せのヒントが いっぱい飛び出してきました!


最初に登場していただくのは、松井一也さん・千田稚子さんのご夫婦です。
松井さんはテレビカメラマン、 千田さんは「陶工房ゆうらぼ」を構える陶芸家さん。
ご夫婦でおいしいものが大好きで、千田さんは料理を作って人に食べてもらうことも大好きだとか。
ちなみに編集人とは車好き同士、趣味を同じくする仲ということもあり、ご自宅で手料理を呼ばれながら
お話を聞かせていただくという、楽しいひとときになりました。 (聞き手・ライター吉田)

3.うつわのたのしみ。 『暮らし上手さんに会おう!第1回』

2014.12.15

 

 

千田:取り皿、うしろの棚から適当に出してね。すいませんね、うち、誰が来てもそんな感じなんで。

 

――:はい、じゃ適当に(笑)。

 

 

――:…さて、千田さんの本業である陶芸のお話もお聞きしたいと思います。
そもそもテレビの仕事をしていた千田さんが陶芸の道に進まれたのには、どういう訳があったんでしょうか。

 

千田:陶芸は、元々大学で工芸をやっていて興味がありました。
仕事も楽しかったけど、家に祖母がひとりだったので、私の帰宅が毎晩遅いのはよくないなあと思ったり、まあいろんな動機が重なって。
仕事を辞めて、父の知り合いの窯で2年ぐらい勉強しました。
そこは最初「うちは弟子は取ってないから」って断られてたんだけど、毎日お昼のお弁当を作っていくという交換条件で(笑)通わせてもらえるようになりました。

 

 

――:料理でコミュニケーションを図る能力はすでにその頃から(笑)。
うつわを作るようになったのも、料理が好き、食べるのが好きっていうこととつながっているんでしょうか?

 

千田:それはそうですね。
このおかずを、こんな皿にこう盛り付けて食べたいなと思うんだけど、思うようなのはなかなか見つからないし、あっても手の届かない値段だったりするから、それなら自分でつくろうって。

最初はそういう動機が大きかったんですけど、今は私もそこそこ歳をとってきて、そうなるとだんだん自分の好きなものがどこにあるかわかるようになってくるんですよね。
それは人だったり、お店やイベントだったりなんですけど。
いろんなつながりの中で、自分の求めてるものが、自分のまわりにどんどん自然に集まってくるようになったんです。

 

 

――:同じニオイのする人が集まってくるんですね!

 

千田:だから、もちろん自分の作品は自分の好きなようにつくるんだけど、他の作り手のうつわも、古いものも好きで、普段からよく使っていますよ。
そういう作品には、自分では真似できないなにかがあるから、すごく価値を感じますね。
工業製品だって、だからこそのおもしろい工夫が感じられて、好きなものはたくさんあります。
その魅力は自分の技量だけでは絶対に得られないでしょ。
だから、そういうものには迷わずきちんと対価を払いたいなと思います。
結局、食べ物を手づくりするか買うかっていう、さっきの話と一緒なんですよ。

 

――:ああー、なるほど!今すごく納得しました。一貫してますね。

 

 

――:料理の大皿も六角の取り皿も、千田さんの作品ですよね。

 

千田:はい。今日は一応、ほとんど自分のうつわを使ってみました。

 

――:作家もののうつわというと、特別なときに箱から出してくるみたいな印象のものもありますけど、千田さんのうつわは本当に、ふだんの食卓にも自然になじみますよね。
というか、ふだんの食卓にこそ似合うって感じ。
いつでも安心して使える感じが、すごく好きだなあと思います。

 

 

千田:やっぱり、自分が使いたいと思うものを作るとこうなってくるのかな。
基本的に料理はドーンと作ってドーンと盛るのが好き。
料理ができたら、モタモタしないで一刻も早く食べたいじゃない(笑)。
だからフライパンからザッと盛っても映えるように、シンプルな感じのが多いですね。
どんな料理にでも、どんなシーンにもなじむうつわがいいなと思います。
ふだんのおかずでも、スーパーのお惣菜でも。

 

――:ああ、ほんとに言われる通りですね。
うつわ自身にも存在感は確かにあるんだけど、それでいて、どんな料理でも引き立ててくれる。

 

千田:うちだっていつも手づくりというわけじゃなくて、出来合いのお惣菜を買ってくることもあるんですよ。
でもパックのままじゃいかにも寂しいけど、ちょっとこんなうつわに盛り付けてみたら、それだけでちゃんとして見えるでしょ。
お惣菜で済ますときこそ、うつわにも少し気を配ってみるといいと思います。

 

 

――:千田さんが作品を作る上で、大事にしていることはどんなことですか?

 

千田:6月(2014年)に開いた個展のテーマが「-余白-」っていうんですけど。
余白を大事にしたい、というのはずっと思っていることですね。

料理を作って出すとき、そこに「気持ちを入れる」ってあると思うんですよ。
料理を盛るとき、作った人の気持ちもきっと一緒に盛り付けられてると思うんです。
食べるときは、食べる人の気持ちもそこに入っていくし。
そういう作る人、食べる人の気持ちがいっぱい入ってゆける、余白のあるうつわを作りたいなと思っています。

 

――:それは千田さんが普段からごはんを作って、人と一緒に食べているから。
そういう時間を大切にしているからこそ生まれてくる気持ちなのかなと思います。

 

 

千田:ま、とにかく食いしん坊だからね。
自分のうつわが、料理をつくる人と、食べる人とをつなぐものになれれば幸せだなあと思います。

 

つづく ・・・5回連載 第4回「4.クルマのたのしみ。」は12月22日UP予定です。

 2014年8月 取材
文:吉田愛紀子
キャプション:編集A

※ 写真をクリックorタップするとキャプションとともに拡大写真がご覧いただけます。

 

陶工房ゆうらぼ

千田稚子さん、三宅史家さんの女性ふたりで開くやきもの 工房。
個々に制作・発表の活動を行いながら、 陶芸教室、 ゆうらぼとしての器展を共同で開いています。
岡山市中区藤崎497-3  tel.086-277-8076
http://ww61.tiki.ne.jp/~yu-lab/

 

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