「なんだか楽しそう!」な人たちって、暮らしも楽しそう! それってつまり、〈 暮らし上手 〉だと思うんです。
そんな人たちの「たのしい」の秘訣、聞いてみたいな・・・。 よし!会いに行ってみよう!!
思い立ったが吉日、さっそく お伺いした暮らし上手さんからは、幸せのヒントが いっぱい飛び出してきました!


瀬戸内市で暮らす新居典子(にいのりこ)さんの工房を訪ねました。新居さんは、地元の野菜やハーブなどを瓶詰めの食品に手作りで加工して販売する『Inori』の代表です。そして彼女の友人の一部からは、「魔女」と呼ばれています。暮らしの身近な所にあるものをあるがままに見つめ、正当に扱って恩恵を受け取る、そんな様子が、今の時代には魔法を使っているように見えるからでしょうか。

(聞き手:尾原千明)

1.新居さんとコッコたち 『暮らし上手さんに会おう!第9回』

2017.01.09

 

【山の上にある工房に到着すると、まず出迎えてくれたのは新居さんのニワトリたちでした】

 

 

 

――:今、私たちが着いたら、庭先でニワトリたちが迎えてくれたんだけど、リーダーが先頭を歩いて、みんなを統率してるんだね。

 

新居さん:あの茶色い子がリーダーで、みんな、あの子の言うことを聞くんだよ。残りのオス2羽が時々、喧嘩をするから〈…ちょっと間…〉いつ締めようか、と考えてるところなんだけど…。私は締めることが出来ないから、近所のおじさんに頼んで。

ニワトリ同士の喧嘩は結構激しくて、毛がばさっと抜けて血まみれになったりするし、あんまり喧嘩をしすぎると群れの統率がとれなくなるから、仕切りを作って分けたり、オスだけ外に出したり、色々とやりながら、今はなんとなく一緒にいられるからいいけど。

トリにもよるけど、一旦なついたら、「コッコ、コッコ」って呼ぶと、向こうからばーっとやって来るの。散歩できるくらいにはなるよ。でも私はあんまりなつかせないようにしてるの。締めるときのことを考えて、名前も付けず。

 

 

――:だからコッコという総称で呼んでるんだ。

 

新居さん:そう。群れになるとボスがああやって統率してくれるから、あんまり気にしてなくていいし、畑をしていたら虫を食べてくれて助かる。でも時々、話はしてる。

 

 

――:あの烏骨鶏(ウコッケイ)、かわいい。

 

新居さん:かわいいでしょう。野生に近いから、あまり触らせてくれないけど、卵を抱くのは烏骨鶏。ほかのコが産みっぱなしにした卵を、自分で孵そうとするの。満遍なく健気に卵を抱いて、20日間くらいあんまり食べずに、ずっとそこにいて。うちのコッコは全部、ここで孵ったコなの。

 

――:えっ。そうなんだ!

 

 

 

 

【お邪魔してさっそく、お昼ごはんをごちそうになることになりました】

 

 

 

――:この台所、ほんとに良いよね。ショコラがあんなにぐうすか寝てる。ショコラ、いくつになった?

 

新居さん:えーと、いくつだっけな。中学3年生。

 

――:(笑)、15歳ってことね。

 

新居さん:そう、知り合いのお子さんと同じで、それでカウントしてて…(笑)

 

 

――:この備前焼のかわいいのは、おひつ?

 

新居さん:友だちがこの近くで備前焼をやっていて。寺園 証(証太)ちゃんの。これもそうで、…これもこれも、ほとんどそうだわ。彼らのところが結構近いから、買うこともあるけど、物々交換して、どんどん、証ちゃんのところのが増えてきて。

ご飯がいる人はー?

 

 

――:ご飯、すっごくおいしそう。いい匂い。家では、こんなふうに炊けないなあ。

 

新居さん:炊きたてだし、おいしいと思うよ。オリーブオイルと鰹ぶしをかけて食べるのがおすすめなんだけど(笑)、やってみる? 卵かけご飯の味がするよ。

 

――:オリーブオイルと鰹ぶし? やってみる!

 

新居さん:なぜか卵かけご飯の味になるの。

 

――:卵にも事欠かないのに(笑)。

 

 

 

――:この土地に引っ越したのはいつ?

 

新居さん:うーん、何年前だろう。6年目かな。

 

――:じゃあ、2010年頃。どうしてここに引っ越して来たんだっけ。

 

新居さん:ワッカファーム(瀬戸内市邑久町の完全無農薬栽培で野菜をつくるファームhttp://wacca-farm.tumblr.com)に仕事で通うようになって、近い場所をずっと探していて。以前は玉柏(岡山市北区)から1時間くらいかけてワッカまで通ってたんだけど、ここの方が近いから良いなと思って、こっちに移って来て。

ここに来て、鳥がすごく身近な存在になった。ツバメもあそこに巣を作ってるし。

 

 

――:このサンルームじゃなくて、建物の中に巣を作るのはどうして?

 

新居さん:カラスとか天敵が多い環境だから、どうしても中に入るみたい。もう仕方ないやと思って、放っておいたら、やっぱり卵を産んで、孵って行ったの。去年、このサンルームを作って。

 

――:このサンルームは自家製?

 

新居さん:知り合いの大工さんにお願いして作ったんだけど、でも材料は全部もらって来た。この建具も、全部そうで、あり合わせのものばかり。

もうね、建物の中が寒すぎて、ここは貴重な暖かい場所だから、と思ってサンルームを作ったの。真ん中の部屋は薪ストーブをガンガン焚いて温めればいいと思って。以前は一番奥のキッチンのある部屋にも薪ストーブを置いて、それを焚いても、それでも冬は寒くてたいへんだったから。

 

 

 

――:今は全然違う?

 

新居さん:違う。面白いね、建物の造りって。いかに暖かくできるか、どうやったら過ごしやすくなるかは、常に考えてる。

 

――:改装計画がある?

 

新居さん:どこにストーブを置こうか、とか、2階の天井を何とかしたいなとか、小さなことは色々あるけど、大きなことは解決したかな。あの寒さからは脱出できた。最初の頃、建物の構造をちゃんと考えてなかったから、そんなことになったの。いろんなところを仕切って、布を張ったりしながら、「寒い、寒い」って言いながら過ごしてたのよ。

でも、もっと工夫のしどころはあると思う。薪ストーブを焚いてオンドルみたいにする、っていう自然の力を利用した工夫をやりたい。建築って、家ってすごく大事だと思う。勉強したいなと思ってる。

 

 

 

――:あー、おいしかった。本当に。オリーブオイルの良いのを買わないと。新居さんのとこで売ってる?

 

新居さん:売ってないの。一斗缶で買うから、分けてあげるけど。

あ、『アサクラ』のオリーブオイルって知ってる? 朝倉玲子さんという人がイタリアに行って、向こうの農家さんと一緒にオリーブオイルを作って、それを日本に持って帰ってるの。料理の講習会もやってる。高くはなるんだけど、すごくおいしい、本物のオリーブオイル。

でもこのオリーブオイルもおいしいよね。野菜とかが良いものだったら、塩とオリーブオイルをかけるだけでおいしいから、それでいいなと思って。

 

――:塩はどんなものを使ってる?

 

新居さん:2、3種類を使い分けてる。パスタを茹でる時には、ざざっと使える塩で、味付けに使う時のは『COTAN』(岡山市北区奉還町)で買ってるかな。でも私、塩はたくさんありすぎてわからない。

 

――:私は『野菜食堂 こやま』(岡山市北区田町)で買う「チベットの雪華」っていう塩が大好き。茹でたジャガイモや卵にかけると、それだけで大満足。

 

新居さん:あそこも良い塩を使ってるよね。私はうちの商品のハーブソルトをゆで卵にかけてる。これもおいしいよ。何気に宣伝するけど(笑)。

 

――:意外と入れてくるなあ(笑)。何のハーブ?

 

新居さん:2種類あるんだけど、料理に使うのは、「ヨーロピアンハーブソルト」。ハーブ3種類とニンニク、タマネギも入ってるから、結構味が付いてる。ゆで卵におすすめ。

 

 

つづく・・・4回連載 第2回「2.マフィンを焼きながら」は1月16日UP予定です。

2016年9月 取材
文とキャプション:尾原千明

※ 写真をクリックorタップするとキャプションとともに拡大写真がご覧いただけます。

 

◆『Inori』のホームページ http://inorilife.shopselect.net

 

2.マフィンを焼きながら →

ieto.me ホームへ