『あったらいいな、こんな暮らし。』
この気持ちをいつも大切にした家づくりを心掛けるFOMES design。
そのFOMES designから、新しい提案住宅が生まれました。
場所は静かで利便性のよい街、倉敷市大島。
倉敷に住む建築家が提案する、倉敷で暮らす家・・・。
FOMES designの考える提案住宅とは?
そして「STUDY HOUSE」とは?
FOMES designの手がける家づくりプロジェクトについて、
まもなく完成という「大島ハウス」と、FOMES design事務所に伺い
代表の高見修一さんにお話を聞かせていただきました。

chapter.3 土地からはじまる「STUDY HOUSE」

2015.05.27 

 

 


3_01―― 「大島ハウス」も「羽島の家」も、誕生のきっかけは「なんだか気になる土地に出合ったから」ということでした。

高見 そうです。この2つの「STUDY HOUSE」は、ほんとに土地あってのものですね。

「大島ハウス」も、この分譲地をたまたま見つけて、いいなあと思って。まず現実問題として、すぐ近くに万寿東小学校があって、子育て世代に人気の学区というのが、「STUDY HOUSE」を実現するには好条件でした。

―― 家を持とうとする子育て世代には、実際、学区の問題は気になりますからね。

高見 6区画の分譲地なんですけど、ではこの6つのうちどこがいいかと考えたとき、建売住宅の価格設定を超える広くて高額な区画は除外して、残り4区画の中では、見ればすぐに「ここしかない」と判断がつきましたね。

―― なにをもって「ここしかない」と感じられたのでしょうか?

高見 南向きではなく西北の角地で、なんといっても、敷地が真四角じゃなく西面が斜めになってるんですよ。その斜めの部分を見た瞬間に、もうほとんど建物の形が頭の中にできあがりました。アプローチを斜めに入っていって、南を閉じたコートハウスで、吹き抜けをL字に囲んで空間が広がって・・・という。

 

 

 

 

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―― 土地を見た瞬間に、建物の形が頭の中にできあがった。

高見 そうです。僕たちは、だいたい更地の状態を見れば、完成形が目の前に見えてきます。だから敷地を見れば、ここでいい家ができるかできないか、その場で判断がついちゃうんですよ。

―― へえー!そういうものなんですか。

高見 こんなことあまり建築家が言うことじゃないかもしれないですけど、土地えらびからはじまる家づくりがうまくいくかいかないかというのは、大げさに言ってほぼ8割は土地えらびで決まると僕は考えているんです。

―― 8割って、ほとんどすべても同然ですね!土地が重要だというのはわかりますけど、建築家さんがそこまで言い切るとは驚きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

高見 だって、もし条件のいい土地と、条件のよくない土地との2つがあったとして。周りが広々していて気持ちがよくて、法的な制約を気にしなくていい土地と、その逆の土地。こんなこと現実にはありえないけど、もしひとりの建築家が、両方の土地にそれぞれ家をつくることになったら、間違いなく「条件のいい土地」に建てるほうが、よりいい家ができるに決まってるんですよ。クリアしないといけない障害がないほど、自由に創造できるわけですから。

だから、いい家ができるかどうかはほとんど敷地えらびで決まる、と僕は思うんですよね・・・。

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3_04―― うーん、確かにどんなに凄腕の建築家でも、ロケーションはどうにもできませんからね。

高見 本当そう。建築家がいくら工夫しても、さすがにお隣の屋根を低くすることはできない(笑)。風向きを変えたり陽の昇る方角を変えたりできる建築家がいたら、すごいよね(笑)!

でも土地の条件といっても、日当たりとか風通しに関しては、建築家が工夫してどうにかすればいいことなんです。こんな日当たりの悪いところ大丈夫?と思っても、つくり方次第で意外と充分な明るさは得られるものです。建築家にとって、その点は意外と難しいことではないんですよ。

―― そうなんですか。確かにこの「大島ハウス」だって、南に隣家が迫っていて、日照条件だけを見れば良好とは言えないですけど、実際の明るさや開放感は申し分ないです。

高見 これは単に個人の好みですけど、僕は南道路の敷地にはあまり惹かれなくて。
外からの視線が気になるし、洗濯物も目立ちますし、意外と南向きで気持ちよく暮らせる家をつくるのは難しいと思うんです。

 

 

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―― 結局カーテンを閉めるようになったりして、メリットを活かし切れない場合も多いですよね。

高見 だからFOMES designの家は、南に閉じた庭をつくれる、南向き以外の敷地が多いですね。それはあくまで、土地から選んで建てるという話のときに限りますけど。
・・・なぜだかわかりませんが、FOMES designのお客さまは、土地から購入して建てる方が意外と少なくて、実家の土地があるとか、建て替えとか、既に土地の決まっているケースが圧倒的に多いんです。

―― そうなんですか。

高見 注文住宅の仕事とは何かというと、「与えられた条件の中で最善を尽くす」、その一言に尽きるんですよね。だから、まず敷地が与えられます。それから時間と予算が与えられます。その中で、クライアントの求める要件に対して最善を尽くしていくのが、建築家のすべてだと思うんです。

―― ふむふむ。

高見 注文住宅は、クライアントの要件を与えられた予算と時間で形にしていく行為ではありますが、具体的には敷地によって形づくられるものだと僕は考えています。先にも言ったように、敷地の条件が家のよしあしを大きく左右すると考えているんですね。

その点、「STUDY HOUSE」では、僕らが自分の判断で土地を選んでいます。僕らなりに、いい土地を選んでいる自信がありますから、必ずいい家になるはずなんです。

だからこうして建物をつくって「こんなのどうですか」と言ってるんだけど、僕らにとっては、まずこの土地を選び出したというスタディが、非常に重要なポイントなんですよ。

 

 

 

 

―― なるほど!  FOMES designさんが「あったらいいな」と思う家を提案する「STUDY HOUSE」ですが、その提案の中には、建物だけじゃなく、敷地選びの部分が多く含まれているということですね。

高見 まさにその通り!ほとんど敷地の提案と言ってもいいかもしれません。

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3_07―― 敷地選びをとても重視していることが、よくわかりました。
では、こうして選ばれた敷地に対して、建物はどういうスタディのもとで形作られていったのでしょうか。

高見 南と東には隣家が迫る敷地条件ですから、デッキテラスで外へ開放しつつも周囲は壁で閉じた状態にして、プライバシーを保っています。建物が密集した街なかにあるんだけど、いったん内に入ってしまえば、その中でのびのびと暮らせる家。日ごろから僕たちのつくる家はわりとそういうタイプが多いのですが、この「大島ハウス」も、南を閉じたコートハウスであることがプランの軸となっています。

 

 

 

 

 

 


3_08―― 室内は、大きな吹き抜けがありますね。

高見 吹き抜けも、FOMES designの家では必須に近いですね。「空気のデザイン」を重視すると、必然的に吹き抜けを設けるようになるんです。

―― 空気のデザイン、ですか。

高見 この「大島ハウス」のような核家族の暮らす家は、家全体が「ひとつ屋根の下」、大きなワンルームのようになっているのがいいと僕たちは思っています。いろんな理由があるのですが、一例をあげると・・・僕、寒いのが嫌いなんですよ。

―― 私も苦手です(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

高見 冬だったら、リビングには必ずなにか暖房をつけるじゃないですか。その暖房ひとつで、ついでに家じゅう暖まってほしいんですよ。

冷気は上から下、暖気は下から上に流れますから、その空気の流れを利用するんです。吹き抜けを通じて暖かい空気が上がってくるから、そこに面して各部屋を配置すると、家じゅうが暖まりますよね。この「空気のデザイン」を、うちの家づくりではいつも意識しています。

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3_10―― 自然の力を上手に利用して、なるべく暖房器具に頼らず快適に暮らせる家がいいですね。

高見 そのためにはもちろん断熱が重要になるんですけど、この大きなワンルームの家を、外からまるごとしっかりくるんで断熱してしまうので、内部はどう間仕切ろうが温度に影響はないんです。

―― なるほど。間仕切り方によって暑さ寒さが左右されないようになっている。これも、スケルトン&インフィルの考え方につながると言えますね。

 

 

 

 

 

 

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高見 敷地に対するスタディというと、あとは法的制約の問題があります。ここは第一種低層住居専用地域なので、住環境として一番優れた地域なんですけど、それだけに規制も一番厳しい。隣家にかかる陰の規制が厳しいから、建物は少しでも低くしようとしました。

―― 勾配天井なので2階中央は天井高がありますけど、実際、端のほうはかなり低いですよね。

高見 低い家はそのぶんたとえば左官さんの塗る面積も少ないし、容積が小さいからエアコンもよく効くし、経済的なんですよ(笑)。基本的に僕は大きな家にはあまり興味がなくて、低くて小さい家が好きです。

 

 

 

 

 

 

―― 「大島ハウス」は土地約46坪、床面積は約29坪で、数字だけ見ると若干コンパクトですけど、実際内部に立って見ると、かなり広々と感じます。

高見 でしょう?
街並みの中ではちっちゃく見えて、でも大きなビルトインガレージもあるし、デッキテラスもルーフバルコニーもあるし、家族で楽しく、のびのび暮らしていただける家だと思いますよ!

 

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文・吉田愛紀子

最終回 4.可能性を楽しむ「STUDY HOUSE」は 6月3日(水)UP予定です。

 

株式会社 FOMES design

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http://www.fomes.net

STUDY HOUSEについて詳しくは・・・ http://fomes.net/study-house.html

 

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