クレル後楽園のこと、土岐さんと宮井さんに聞きました。(前編)

2016.03.24

 

 

岡山市中区浜にできたタウンハウス賃貸住宅「クレル後楽園」。
後楽園に近く、自転車で中心部へ出かけられる利便性のよい街にあります。
ひときわ目立つ建物ですが、威圧感はなく、街に寄り添う穏やかさが印象的です

設計・監理は、有限会社土岐建築デザイン事務所。
2月には完成見学会も開催されました。

この、不動産屋さんと設計事務所の共同プロジェクトである「クレル後楽園」について、
詳しく知りたいと思った私たちは、見学会準備中に現地を訪れ、
建て主の菱善地所有限会社 専務・宮井さんと
建築家・土岐さんのお二人に、
設計事務所に依頼した意図や建物の特徴などお伺いしてきました。

 

 

お話をしてくださったのは、このお二人。

 

”どうしよう”に応えたい不動産屋さん

菱善地所(りょうぜんじしょ)有限会社
専務・宮井宏さん
※2016年6月21日より宮井宏さんは代表取締役に就任されました

 

有限会社 土岐建築デザイン事務所
代表取締役・土岐一嘉さん

 

 

1.はじまり

 

ーー: 今日はどうぞよろしくお願いします。
まず、菱善地所の宮井さんにお伺いします。
クレル後楽園とは、どのような建物なんですか?

 

宮井: メゾネットタイプのタウンハウス型の賃貸住宅ですね。

 

 

ーー: なぜ、それを建てようと? そのはじまりは?

 

宮井: たまたまここの土地を売るよ、って話を知り合いの不動産屋さんに聞いて、いろいろ不確定な部分もあったのですが、何とかなるだろうと思いとりあえず買ったんです。

最初は宅地の分譲も考えたんですよ。
でも、すごく変わった形の土地で、ここに道路を入れて3区画、4区画取ったところで全然良いことになりそうにないなあ、と。
だけど、もしもアパートでうまくいくなら建ててみたいな、と思いつきましてね。

で、ざっくり自分で考えてみたんです。
2棟で多分まぁ7~8戸入るだろうから、メゾネットでのファミリータイプの住宅が出来るんじゃないかと。
試算したら何となく出来そうな感じがしたんです。

ちょうどその頃、土岐さんが当時委員長をされていたフィールドオブクラフト倉敷の実行委員になりまして。

 

土岐: 2014年の実行委員として入られたんです。そこで僕は初めてお会いしたんですよ。

 

宮井: 土岐さんと直接お会いしたのは2014のフィールドオブクラフト倉敷の会場が初めてだったんですけれど、それまでにお名前は存じ上げていたんです。
10年くらい前、うちの分譲地で土岐さんが1軒建てられていて、そのときに祇園の事務所まで図面を持って行った事があるんです。

 

ーー: ほー。

 

土岐: その後に、うちの事務所で開催したKITAWORKS・木多さんとのプロダクト展示会を観に来てくださったんです。
そこでさらに、「ちょっとご相談が…、こんなのはどうですか?」という話になり、一緒に現地にも行って・・・。

 

 

宮井: 僕のイメージを伝えたんです。
2棟建って、中は3LDKのメゾネットでコンパクトな間取りにして、ちょっとしたコミュニティスペースを取りたいんだ、と。
確かそのときはそれくらいのオーダーだったんですよね。

そうしたら一発目で模型まで作ってきてくれて。
それがたまたま反転してたんですけど、ははは。

 

土岐: いや、計画を進めるために土地を見にきたら、おっかしいな、おかしいな…って。
でも、測量図がそうだから。確認しようにも、草がもう凄くて!

 

宮井: そうそうそうそう!

 

 

土岐: だからもう疑いの余地もなく。おかしいなあ、と納得いかないままで。

 

宮井: 測量図からCADに取り込むときに、反転してたんですね。
僕も、最初のその模型でイメージ描いてたんで、頭ん中、未だに若干修正されてない部分があるんですよ。ははは。

 

土岐: で、もういちどつくり直したんです。そういうエピソードがあったりね(笑)。

 

宮井: いや、でも一発目のご提案が最初っから、建物の配置といい、ほとんどイメージ通りで。間取も最初の提案からほとんど変わってないです。

 

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2.土地に合った建物

 

ーー: たまたま土地があったからはじめようと思って、ここまで?

 

宮井: ウチが買った後、投資用に買っておきたいみたいなお話もあったんですよ。
だけど、ちょっと、ここへ建物を建ててみたくて。で断ったんです(笑)。

変な土地の使い方、土地に合ってない建物が多いといつも感じているんで、なんだか、人に渡しちゃった後、変なのが建つのかもしれないっていうのが嫌だったんですよ。

もしも今からここで賃貸するなら、多分ワンルームじゃなくてファミリータイプが良いだろうと思ってね。この辺りでは、1LDKが多いんですけど余り気味だし。

ファミリータイプの賃貸は戸数が取れないんで、採算性はそこまで良くないんですよ。
だから投資の効率としては悪いんですけど、でもやっぱりここの土地に合った建物を建てたいな、と思って。

建てると決めたときはそういう感じだったんです。

 

 

ーー: ほう。

 

宮井: で、ちゃんと採算が合うんだったら、やってみようとはじめました。
ほんとに合うかは、入居次第なんでね、未だに不安は不安なんですけど。イメージ通りにつくっていただいたんで、これで入居されないなら全部自分のせいですから。

 

ーー: 土岐さんは、最初話が来た時どんなふうに思いました?

 

土岐: 計画ではマンションもアパートの経験もあるんですよ。
実際建っているものもあるし、特に不得意って事はないんで。

ここは結構変形した土地でしょ?普通ではない。見に来た時に、接道とか法規的に問題ない事は確かめていたんで。

 

宮井: 接道を4m取って、建物が2棟建つようには何とか努力したんです。

 

土岐: それがクリア出来て。
だけど、木とか石とか一杯あって草も生い茂ってるし、段差もあったり、結構見えにくい土地だったんです。

まぁ、難しい土地だから、逆に良かったというか。僕としては、こういうの得意としてるんで。

 

ーー: 難しい条件で建てるのは、建築家さんって得意ですもんね。それにしても専用庭付きっていいですねぇ。

 

土岐: そう。個別に庭をブロックで囲ってプライバシーをきちんと守っています。
昔はこういう建て方ってよくあったんですよ。

 

宮井: 昔の長屋とかにね。

 

ーー: ああ、はい。

 

土岐: ああいう形は、住み方としては凄く楽なんですよ。住人が自由に触れるんで。
そういう庭にしたいなぁ、って思って。

 

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宮井: クレル後楽園の入居者の方も庭へ自由に植えて楽しんでもらえたらって思ってます。
で、そのままで退去されたものを次の人が引き継いで、という感じで庭を育ててくれたらいいな、と僕は思うんですけど。
そういうの、みなさん慣れてないんでね。だから、どうかなぁ。

昔の長屋のイメージがあったんで、なるべく経年変化していくような部分をつくりたくて、最初は床を無垢でやってみたいって思ったんですけど、建具まわりとか…。

 

土岐: そりゃ、もう凄いですよ、熱意が凄い!
逆に、そこまでやって大丈夫ですかって心配になるくらい(笑)。

 

宮井: でまぁ、結局コストとか考えて妥協して、出入り口周り(玄関扉)だけだってことになったんですけど。それはそれで正解だったんだろうな、って思うんですけどね。

でもやっぱり、木がね、杉とか、年月を経てシルバーになっていくのが僕は好きなんですよ。
玄関扉もそれなりにいい感じになっていくと思うんです。
10年後、20年後に良い建物だなぁ、と思えるような古さがある、そういう建物だったらいいなと思って。植栽もね。

だから、一般的なアパートは建てたくなかったんです。

 

 

 

3.設計の依頼

 

土岐: でも、菱善地所さん、初めてじゃないよねぇ、こういう賃貸って。

 

宮井: 賃貸の新築は2棟目です。1棟目は自分たちで間取りとか考えて施工をお願いしたんですけど、なんかねぇ、納まりやいろんな細かいところがちょっとイメージどおりにいかなくて。

 

ーー: 知り合いの土岐さんが建築家だったからとかではなく、依頼は設計事務所にしようと決めてたんですか。

 

宮井: はい。建てるんだったらプロに任せないといけないっていうのが、よくわかったんでね。
プロといっても、ハウスメーカーさんとかにお願いすると形が決まっているので僕がする意味もないし。

 

 

ーー: たしかに同じパターンの建物の賃貸は街にたくさんありますね。
クレル後楽園はA棟、B棟、それぞれ形が違いますよね。あれってやっぱりその…

 

土岐: 敷地の形状ゆえの配置ですね。

 

宮井: 敷地が奥に狭くなって詰まってるんで軒が出せなかったんですよね。

 

土岐: だから配置は結構難しかったですね。

 

 

ーー: その土地をどう上手く利用するか考えられた形なんですね。
それ、お部屋っていうか、一戸の面積は変わってくるって事でしょうか。

 

土岐: それは先に提案があったんです。何平米ぐらいで、っていう。
それもコストになっちゃうんで、考えて90~100平米ならいけると。
80平米台か70平米台で納めたかったけど、ちょっと納め切れなかったですね。

 

宮井: ここがギリギリでしたね、ほんとに。
まぁ、これ以上切り詰め様がないかな、っていう感じなんですよ。もうリビング狭くするしかないんで。
だからB棟は庭がA棟の半分くらいの大きさですね。軒もA棟ほど深く取ってないんで。

 

ーー: ちょっと違いますね、軒の形。

 

土岐: A棟とB棟の間に、コミュニティスペースを最初大きく設けていたんですけれど、やっぱり駐車場の兼ね合いから制限があって、小さくかわいいスペースになりました。

 

宮井: 駐車スペースは100%取りたかったんです。
B棟の駐車場全部に、コミュニティスペース、休憩小屋もつくってくださってたんですよね。

 

土岐: 芝を敷き詰めてね。

 

宮井: こんもりして、いいなぁ、って思ったんですけど…。

 

ーー: 木がふんだんに植えてありますよね。立水栓もある。あれは共同で使えるんですか?

 

宮井: はい、使えます。

 

土岐: お子さんがちょっと遊んだり、住人同士話ができるような、そういう交流の場もこの中で欲しいなっていうのがあって。
僕もそういうの大好きだったんで。

 

 

宮井: 最初の計画の時、模型を見るとわかるんですが、ホントにでっかい小屋が、あの、このリビングダイニングの半分くらいの大きさの小屋があって。
出来ればつくりたかったんですけどね、土地から買ってたんで、なんか本当にギリッギリでしたねぇ。で、ちょっと小さくしちゃったんです。

 

ーー: これだけのものをしようと思ったら、かなり思い切らないと出来ませんよねぇ。

 

宮井: そうですねぇ、ここでこんなふうに語っても、結果が大事なんでねぇ。
まぁ、だから今の時点ではこの事業が成功したかどうか分からない(笑)。

 

ーー: でも、借りる側の気持ちとしては、こういうのは嬉しいですね。

 

宮井: そう思って入居してくださるといいですね。
賃料も安くはないんで。「それでも!」と、入居してくださるのは本当に嬉しく思います。

 

土岐: 転勤などで勤めている会社が、家賃をいくらか負担してくれる場合とか、そういう補助があるケースなら向いてますね。

 

 

後編につづく

2016年2月25日 取材

「クレル後楽園のこと、土岐さんと宮井さんに聞きました。(後編)」は、明日、3月25日(金)UP予定です。

→ クレル後楽園のこと、土岐さんと宮井さんに聞きました。(後編)

 

 

ieto.me_clair korakuen_物件詳細_3S7A2270

「クレル後楽園」
タウンハウス賃貸住宅
岡山市中区浜3丁目5-7-3
構造/木造2階建て
戸数/8戸
備考/ウォシュレット・エアコン・ガスコンロ・テレビドアホン・専用テラス・庭・ベランダ・屋外物置付き

~お問い合わせ~
菱善地所有限会社
Tel 086-225-0090
〒700-0816 岡山市北区富田町1-1-10 2F
営業時間 9:00~18:00
http://ryozen-jisho.com/

 

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