照明も調べてみよう 1 VL45ラジオハウスペンダント

2021.11.26

暗く長い冬を快適に過ごすために、北欧ではすぐれた照明がたくさん生まれたといいます。
どんな照明があるんだろう? 

今回紹介するのは、「VL45ラジオハウスペンダント」。

 

 

VL45ラジオハウスペンダント

 

 

 

 

友人宅のリビングを照らすライト。
見た目はふっくらと丸く、艶々とした白色。とても控えめで上品な雰囲気です。

 

 

 

■ デンマークの国営放送局で使われた照明

 

名前にある「ラジオハウス」とはデンマークの国営放送局のこと。

デンマークのモダニズムを築いた機能主義建築家、ヴィルヘルム・ラウリッツェン(1894~1984)がデザインしたものです。ラウリッツェンは1934年にラジオハウスの設計を任されましたが、戦争のため完成までに長年の歳月がかかったそうです。

ラウリッツェンは建物の建築から、照明や手すり、ドアノブなど什器のディテールまで建物全体を手がけました。それらは照明からも感じられるように、機能一辺倒の直線的なものではなく、なめらかで曲線的な要素を持たせているのが特徴。現在、ラジオハウスはデンマーク音楽学校の建物として生まれ変わっています。

 

 

■ まぶしさのない光

 

ラジオハウス館内の全般照明として使われたラジオハウスペンダントは、デンマークの照明ブランド「ルイスポールセン社」との共同製作。
照明器具の傘になるシェード部分は職人による手吹きガラスです。
内側と外側の透明ガラスで、真ん中の乳白色のガラスを挟み込む3層構造となっています。

 

この光源を包み込むシェードの工夫が、北欧照明の大きな特徴である「まぶしさのない光」を生み出しているとのこと。
ラジオハウスペンダントも内側の電球は外からは見えません。でも下向きの直接光で手元はくっきりと照らし、乳白色ガラスを通した柔らかいトーンが空間全体を明るくともします。

 

上からの姿が、可愛らしい。
真鍮金具はヘアライン仕上げ。使い込んでいくうちに光沢が落ち、徐々に風情が出てくるそうです。

ラジオハウスペンダントは一時期、ルイスポールセン社のカタログから姿を消していましたが、
2016年、VL45ラジオハウスペンダントと名を変えて復刻。既存の直径370mm、250mmと2019年にはより小さな直径175mmモデルが加わり、広い用途やコーディネートが楽しめるようになりました。

 

 

白い美人猫が出迎えてくれた友人宅のリビング。
ライトのスイッチを入れると、オレンジ色のやわらかな光が広がり一気に雰囲気が変わりました。

 

秋も深まり肌寒くなってきたこの頃、夕暮れになると灯りが恋しくなりますね。

 

 

 

● おまけ ●

 

10月に岡山県立美術館で開催された写真展 「星野道夫 悠久の時を旅する」に行きました。
マイナス50度の世界、アメリカ最北部に位置するアラスカに暮らし、
大自然に生きる動物を撮り続けた星野道夫さん。
広大な自然とその一部である動物、そのまた一部である人の営みを写し取った作品に圧倒されました。

その中で目に惹かれたオーロラの写真。
繊細な色彩のカーテンが夜空に広がっていて、なんと美しいこと!

でも、私がさらに惹かれたのはその隅にあったテントの光でした。
真っ暗闇に浮かぶオレンジの光に“ぽわんっ”と心が温まり、北欧の照明を思い出したのでした。

 

 

 

【参考文献】

萩原健太郎(2019)『ストーリーのある50の名作照明案内』スペースシャワーネットワーク

 

 

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