キッチンショールームに行きましたよ ~ FREE STYLEショールーム拝見!
2022.07.15
岡山でオーダーメイドキッチンを手掛ける家具スタジオ「FREE STYLE(フリースタイル)」
ieto.meでお馴染みの建築家たちの住宅でもFREE STYLEの製作したキッチンが多く使われています。
2022年4月、FREE STYLEキッチンショールームがオープンしました。
そこでieto.me編集局で見学に行ってきましたよ!
心地よい風が吹き抜ける5月の昼下がり。
ショールームの扉を開け、まず目に飛び込んできたのは木のぬくもりを感じるダイニングテーブル。その向こうには素敵なキッチンが。部屋全体に柔らかな空気が漂っています。
FREE STYLE代表の三原副久観(ふくみ)さんに案内していただきました。
■自分らしいオリジナルキッチンを実現
― 家を建てるとき、まずこだわりたいのはキッチン!という人も多いはず。FREE STYLEが手掛けるオーダーキッチンについて教えてください。
レイアウトやサイズの決まっている既製品を選んで設置するシステムキッチンに対し、オーダーキッチンは部屋の間取りや好みに合わせて自由な形に仕上げられるのが特長です。無駄なスペースができるもことなく、リフォームにもきめ細やかに対応。床とキッチン扉の素材を合わせるなど、家全体と調和したデザインが可能になります。
― 一日の中でもキッチンで過ごす時間は長いので、使いやすく快適なものにしたいです。
かつて台所は日の当たらない場所に置かれ、家の隅にあるものでした。今はダイニングと一緒になってオープンに、明るい場所になりましたよね。食事を用意するだけではなく、子育てや一家団らんの場として広がっています。コロナ禍で外出できなかったときは、キッチンはより重要な場所になっていたんじゃないでしょうか。
― 夢が広がります。自分らしいキッチンづくりのために、何をどう伝えたらいいのでしょうか。
まずは、お客様の「これだけは押さえたい」というものをイメージしてもらいます。好きなイメージの切り抜きや暮らし方、収納力に長けたものがいいとか、ふわっとした理想のデザインでもいいです。そのイメージをもとにお客様と一緒に考え、最適なキッチンをご提案していくのが私たちの仕事です。
― いろいろありすぎて絞れないかも(笑)
ほとんどの方がそうだと思うんです。過去の事例を見ていただいてイメージを膨らませてもらったり、新築の場合は床や天井などの内装や家具の配置に合わせて提案させてもらったりしています。
一からつくるオーダーキッチンの魅力は大きいですが、デメリットもあります。完成するまでは使い勝手や実物を確認することができません。そこで、素材やサイズ感、レイアウトなどを体感してもらえる場所(ショールーム)をつくるのが長年の夢でした。
■使いやすいようにサイズや形をデザイン
― 明るく清潔感を感じるキッチンですね。
ダイニングテーブルやキャビネットに使っているのはメープルという木です。上から薄く白色の塗装をしています。
メープルは白っぽく清潔感があるため、床やキッチンカウンターに使う木材として人気があります。特長としては、とにかく硬いこと。物を落としても、傷がつきにくいです。ボーリング場のレーンに使われるほどで、以前は小さい小学校や中学校の床にも使われていました。
― 水にも強いんですか?
強いというわけではありませんが、オイル塗料で保護しているので問題はありません。ただ、永久的なものではないのでメンテナンス作業が必要です。ちなみに明るい白色は、長く使っているうちに飴色に変化していきます。
時間の経過と共に増していく風合いや温もりなど味わえるのが無垢材を使った木製キッチンの魅力
木材はメープル以外にもオークやチェリー、ウォールナット、クルミ、タモなどがあります。色が違ったり、木目がはっきりしていたり、雰囲気がまったく変わってきますので、サンプルを見てお客様のイメージに合うものを選んでいただきます。
― ワークトップ(天板)がシャープでかっこいいですね。
これは4㎜の厚いステンレス無垢材を使い、職人が手作業で作り上げたもの。シンクとの一体型です。通常のステンレスシンクは0.6㎜という薄い素材をプレス成型したもので、ペコペコしたイメージがあるかもしれませんが、厚いものは丈夫で変形もありません。手で触ってもらうと違いが感じられると思いますよ。
一つ一つハンドメイドなので、形やサイズが自由になるのが一番のポイントです。ひとり一人の体型が違うように、その人にとって使いやすい状態に調整できます。ワークトップに使われる素材では、人工大理石も人気ですよ。色や種類が豊富で、熱いものでも置けます。ほかにもタイルや木などいろんなバリエーションがあります。
以前はキッチンに食器棚が必須でしたが、今はキッチン本体の収納力が上がり、引き出し式が主流ですね。引き出せば奥まで見渡せますし、上にカラトリーやグラス、小皿を入れ、下の深い棚に鍋やオイルポットを入れます。オーダーキッチンは高さや幅をミリ単位で調整できるので、お客様には実際に自分の家で使っているものをどう納めるか、シミュレーションしてサイズを決めてもらっています。
最近はキャビネットに食器洗い機を組み込めるビルトイン式を選ぶ方が増えています。食器洗いに使っていた時間をほかの家事にあてたり、ゆっくり休んだりできるので便利ですよ。手洗いよりも水道代の節約になりますし、高温のお湯で洗うので油汚れや細かい調理器具もきれいに洗えます。
食器洗い機は食器や調理道具を出し入れしますから、どう動いてどう作業するか、シンクとの位置関係が動線に大きくかかわってきます。オーダーキッチンであれば、自分の使いやすいようにレイアウトできます。普通はキッチンに洗濯機を設置しませんが、食器洗い機の横に洗濯機を置きたいというお客様がいらっしゃいました。一度に洗い物が済ませられるからという理由でした。
― なるほど。とことん自分のやり方にこだわったキッチンづくりができるわけですね。
高さや幅、奥行きなどキッチンのサイズ感はご自身の感覚でしか判断できません。ショールームでは実際にキッチンに立って、食事を盛り付けたり、皿を並べたりするときを想像して、テーブルとの位置関係や距離感など自分好みのサイズ、レイアウトを探っていたただきたいです。(要予約)
■人が快適に暮らしていく道具を作る
― 2002年、家具スタジオとしてスタートしたFREE STYLE。キッチンを手掛けるようになったきっかけは?
もともとはテーブルや椅子など木製の家具を作っていました。親交のあった建築家さんから、「家を設計するにあたってキッチンを作ってみたいんだよ」と言われたんです。当時、オーダーキッチンがそこまで浸透していなかったときで、ちょっとやってみましょうか?というのが始まりでしたね。
― キッチンを手掛けることでいろんな知識が必要になりそうですね。
最初は大変でしたよ。一番苦労したのはステンレス。厚さによって使い勝手に差がつく素材なんです。当初はイメージしているクオリティのものが見つからなくて、こちらの要望にあったものを作っていただける業者さんを探すことが大変でした。
仕上げで表情が変わるステンレス。髪の毛のような細い筋が入ったシャープなヘアライン仕上げと、渦巻きをかいたバイブレーション仕上げ。
ショールームのワークトップはバイブレーション仕上げ。傷が目立たずシックな風合いが活かせる
でもね、楽しかったです。お客様がすごく喜んでくださるんですよ。何度も「本当に作れるんですね!」と言われました(笑)。そういった声を直接聞くことが励みになりましたね。
― 今まで手掛けたキッチンで思い出深いものは?
親子2代にわたる注文がありました。ご自身がDIYでいろいろ作られるお客様です。15年前にキッチンの骨組み(枠)だけ作って、扉や引き出しはご自分で作られました。今度は娘さんが家を建てられるということで、今回も同じように骨組みを作って、あとはお母様が作られたんです。
― おぉ、世界に一つしかないキッチン。使えば使うほど、愛着がわいてきそうですね。
家具の中で、椅子やテーブルは実際に人間が触れるものです。でも、食器棚や箪笥は手で触るけれど、そこまで密着度は多くないですよね。
― はい。
「人間が快適に暮らしていく道具を作る」という意味で考えると、キッチンは椅子やテーブルと同じように究極の道具です。
― 確かに。毎日のように使いますね!
その道具の中にもいろんな要素やアイテムがあって、サイズもいろいろ。ここまでサイズを指定される道具ってほかにはないじゃないですか。
― ちょっとした違いだけど高さや幅、間隔で使い勝手が違ってくるんですよね。
また、キッチンは家とともに一生使い続けるもの。というとちょっと大げさですが、使われるスパンが長いので耐久性も必要です。家具作りとキッチン作り。どちらも「快適な道具を作る」という考え方が共通しているので、やりがいはありました。今もとても面白いです。
一生涯、毎日使うキッチンだからこそ、楽しく料理をしたり、家族との語らいを楽しんだり、自分らしく快適に過ごせる場所にしたい。
使い手の想いに寄り添い、手仕事で丁寧に作られるFREE STYLEの家具やキッチン。
三原さんの語り口は柔らかく、真摯な受け答えが印象的でした。ありがとうございました。
もっと聞きたいっ!オーダーキッチンにまつわるQ&A
まずは工務店やハウスメーカーにオーダーキッチン対応が可能かどうかを確認することが大事です。対応可能であれば、早い段階で伝えましょう。設計の初期段階(配管設備レイアウトが決まる前)から検討するのが理想です。
計画から製作まで約3~4カ月です。
ビルトイン食器洗い機のサイズは45㎝と60㎝。家族の人数や使い方、収納スペースとの兼ね合いがポイントでしょうか。海外製と日本製で仕様やデザインに違いがありますが、大きな違いは洗える量です。海外製はドアが前に開くフロントオープン型タイプで鍋やボウルなど調理器具も収まります。洗浄能力が高いから、カレーのついたお鍋もそのまま入れられますし、予備洗いもいりません。最近はコンフォートリフトといって、下のバスケットが上に引き上げられて、腰をかがめることなく出し入れできるものも出てきました。
水を使うので濡らしたままにしないこと。これに尽きます。メンテナンス用ワックスがあるので(負担にならない程度に)、汚れたら拭くという感じで手入れしていただければ大丈夫です。
FREE STYLE KITCHEN The Show Room
オリジナルキッチンのショールーム。
大容量の収納、使いやすく広い作業スペース、食洗機、IHグリルを備えたシンプルなメープルのキッチンを体験できます。
事前予約でご都合の良い時にご覧いただけます。お気軽にお越しください。
■株式会社FREE STYLE
―岡山のオーダーメイドキッチンとオーダーメイド家具スタジオ―
事務所・第1工場:岡山市中区桑野65-4
ショールーム・第2工場:岡山市中区倉益210-2
電話:086-274-5069
http://freestyle-f.jp/
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2022年5月 取材
文:松田祥子