第5回 『あさになったのでまどをあけますよ』
荒井良二 作/偕成社 刊
「あさになったので まどをあけますよ」
窓の外に広がる風景。
山だったり、大きな建物が立ち並ぶ大都会だったり、
舟が行き交う大きな川だったり。
それぞれの異なる風景の中で、共通しているもの。
それは、空。
真っ青に澄み渡る空。
朝日に染まる淡いピンク色の空。
晴れた空。雨の空。
どこに暮らしていても、空はひとつ。
世界は、空でつながっている。
「あさになったので まどをあけますよ」
絵本の中で繰り返されるフレーズごとに、
窓を開ける子どもたちが、描かれる。
それぞれの地で、新しい1日を迎えるために。
窓の外に広がる景色は、毎朝同じようでいて、毎朝違う。
繰り返す日常の中にこそある、生きることの喜び。
家の内と外とをつなぐ窓。
光を取り入れ、風を通すための窓。
建物の中のひとつの機能としての役割だけに終わらない窓。
窓からはじまる一日が、あっていい。
「やっぱり わたしは ここがすき」
窓を開けた瞬間に、絵本の中のフレーズが飛び出してきたら、
どんなにうれしいことだろう。
家も、そして、窓を開けた本人も。
「あさになったので まどをあけますよ」
シンプルで美しい絵本が、
わかっているようで、わかっていなかった窓の存在に、
改めて気付かせてくれる。
あなたの家の窓からは、どんな朝が見えるだろう。
「きみのまちは はれてるかな?」
選書・文 スロウな本屋 小倉みゆき
スロウな本屋
「ゆっくりを愉しむ」をコンセプトに、店主が選んだ絵本と暮らしの本が揃う小さな新刊書店です。
戦前から残る木造長屋をリノベーションした店内では、毎月多彩なワークショップを開催しています。
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