第7回 『彩りの家』

八島正年・八島裕子 著/平凡社 刊

 

隣町のおばあちゃんの家に、泊りがけで遊びに来た僕。

おばあちゃんの家が大好きなのは、どうしてだろう?

 

迎えに来たおばあちゃんと、林を抜けて家までの小路を歩く。

木漏れ日がキラキラおちて、気持ちよさそう。

玄関を開けて家の中へ。

食堂の窓を開けると、大きなリンゴの樹が見える。

午後になると、この樹の葉っぱの影が、食卓の上で揺れ動く。

夕日が射し込む頃、おばあちゃんは台所へ。

今夜は、ぼくとおばあちゃん二人だけのパーティーだ。

食卓の上には、小さなライトとろうそくの炎・・・。

 

絵本の中に登場する、さまざまな光。

窓から射し込む自然光。

食卓を照らすペンダントライト。

あたたかなろうそくの灯り。

ゆらめく暖炉の火。

一日のはじまりに届く、おひさまの光。

光は、照明器具だけの問題ではない。

ひとが、どこで何をするかによって、必要な光は異なるのだ。

 

おばあちゃんの家で過ごす、静かな一日。

何も起こらないのに、いろんなことがあるように思うのは、

一日のそれぞれの場面で、さまざまな光が、

日常に彩りを添えているから。

 

家の中の光を感じる絵本『彩りの家』は、

「くうねるところにすむところ」シリーズ内の一冊。

建築家から子どもたちへ、家のあり方を問いかけるシリーズだが、

いやはやどうして、大人にもたくさんの気付きを与えてくれる。

 

選書・文  スロウな本屋 小倉みゆき

 

 

スロウな本屋

「ゆっくりを愉しむ」をコンセプトに、店主が選んだ絵本と暮らしの本が揃う小さな新刊書店です。
戦前から残る木造長屋をリノベーションした店内では、毎月多彩なワークショップを開催しています。
岡山市北区南方2-9-7
tel 086-207-2182
http://slowbooks.jp/

 

 

 

さまざまな光が、日常に彩りを添えて―。

 

写真 / 「西市の家」 住まいの設計工房アデックス

 

 

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