第22回 『あけるな』
谷川俊太郎 文/安野光雅 絵/復刊ドットコム 刊
レンガ造りの重厚な建物。入口の扉には、「あけるな」と書かれた木の板が何枚も打ち付けられている。ページを繰る。「あけるなったら」。次のページを繰る。「あけるとたいへん」。地面には、はずされた木の板が散らばっている。
変な扉である。それでも「あけるな」と言われれば、あけずにはいられないのが、人間のこころというもの。あけてはいけない扉。ページを繰り、打ち付けられた木の板を、一枚一枚はずしていく。なんだかドキドキしてきた。
板を外し切った扉には、最後のメッセージ。「あけるなといっているのに」。勇気を出して、さあ、あけてみよう。すると・・・!?
扉を開けるごとに広がる、美しく不思議な世界。そして、また現れる次の扉。扉は、あけるためにある。その先に、いったいどんな世界が広がっているのだろう。スリリングな絵本は、1976年銀河社より刊行され、永らく絶版になっていたが、2006年に復刊された。時代を経ても、小さなひとはもとより大人をも、今なお魅了し続ける不思議な力を秘めた絵本。読み終えたら、家中の扉が気になるかもしれない。扉の向こうには、どんな世界が広がっているだろう。さあ、勇気を出して・・・。
選書・文 スロウな本屋 小倉みゆき
『あけるな』 オンラインショップページ
https://slowbooks.securesite.jp/shop/products/detail.php?product_id=604
スロウな本屋
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