椅子のこと調べてみよう 1 椅子という字

2018.07.27

「椅子のこと調べてみよう」シリーズ、初っ端は言葉から。

 

椅子という字

 

 

家にある漢和辞典によると、「椅」という字は、「大地を覆う木」「両手両足を広げた人」「口」という象形から出来ており、意味として下記の2つがありました。

 

①いいぎり(木の名前)

②いす。よりかかりのある腰かけ

 

「子」は小さなものを表しており、「椅子」は、元々は寄りかかる小さなものが転じて腰かけるものという意味になったとされています。
最初の椅子はおそらく岩や木の切り株といったところだったのでしょうか。

今も大昔も人間の身体(構造)は変わってないから、立ちっぱなしだと疲れてきます。地面にぺたっと座るよりも、少し高い位置にある切り株に腰かけると楽チン♪
大昔の人が作業の合間に切り株に座ってひと休みしているシーンが浮かんできました。

 

権力の象徴

 

椅子の起源は四大文明の一つ、古代エジプトと考えられているそうです。
1922年、エジプトの「王家の谷」で発掘されたツタンカーメン王のお墓からは、黄金の椅子や寝台が見つかり、椅子には金箔や豪華な彫刻が施されていたとか。
当時は王様が使う権威の象徴として「王座」と呼ばれていました。

今でも「椅子」は、「社長の椅子を狙う」「首相の椅子に座る」など、地位や権力の代名詞として使われていますね。
ちなみに、英語「chair」は、椅子のほかに、権力や権力のある地位を占める意味(議長、議長席など)を表しています。

 

人と関わりが深い道具

 

椅子のパーツを表す言葉には人間のからだを表す言葉が使われています。
すべての椅子には座面があり、座面を支えるための「脚」があり、さらに「背もたれ」や「ひじ掛け」などが付いています。密着度からしても、人と関わりの深い生活道具の一つ。

世の中にはさまざまな形の椅子があり、例えばロッキングチェアだとパイプを吸いながら休んでいるおじいさんの姿、スリムな椅子だと姿勢を正して仕事をこなしているビジネスマンの姿など、椅子を眺めているだけで座っている人を想像してしまう面白さもありますね。

今回図書館で椅子のことを調べていたら、「木の椅子は小さな建築だ」という言葉を見つけました。
名高い建築家のセリフだそうです。

4本の柱(脚)が重量のある床や屋根(座面)を支え、雨風や地震(乱暴な座り方)に耐える強度が求められる――「建築を考えること」と「椅子を考えること」には、多くの共通点があるのだとか。

確かに座るたびにぐらついたり、ゆったりくつろげる心地よさがなければ、安心して身を任すことはできません。そう考えると、外敵や雨風から私たちを守ってくれる家にも通じるところある。
むむ、納得…。一つ一つの椅子をリスペクトしたくなりました。

 

…と、こんな感じで椅子のことを少しずつ調べていきたいと思います。

 

 


 

 

我が家の椅子を紹介

 

①リビングの椅子

我が家のリビングにある椅子。上の座面がクルクル回るのです。(購入した当時)幼稚園児だった息子には大層魅力的だったみたいで、友達が遊びに来た時は一人が座って、もう一人が後ろからクルクル回す遊び道具の一つにもなっていた。

家に帰ってきて、この椅子に座ると「ほぉ~」と一息つける。どかっと腰を据え、のけぞって(社長さんみたいに!)テレビを見る時もある。お腹がいっぱいのときは、そのままウトウトしてしまうことも…。

 

②猫椅子(子ども用)

猫耳の形が気に入って購入した椅子。すべすべした木肌が気持ちよい。子どもが大きくなってからは、玄関のカバン置きとして活躍。みんなの出発を見守ってくれます。

 

 

③風呂椅子

椅子と呼べるのかどうか… 23年前くらいに購入した風呂椅子。風呂で使った後は、幼かった子どもがおままごとするときの机や椅子として活躍し、今は高いものを取るときの踏み台になっている。古びてきたけど、まだまだ使えそう。

 

 

文:松田祥子

 


 

 

— 「椅子のこと調べてみよう」、次回は、9月28日(金)に更新します。

 

 

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