その28 石けんの発祥地・シリアからの贈り物ーアレッポの石けん
2022.04.28
「春は毒出しの季節。一回風邪などひいておくとよい」。
その昔、お世話になっていたヨガの先生がそんなことを言っていた。
花粉症ではないはず?なのだが、いつになく鼻水がでたり、皮膚がかさついて痒くなったり、気持ち的にもまったくやる気が湧いてこなかったり…。
“木の芽立ち”は、とかく心もからだも不安定になりがちである。
お顔の方も、この時期、紫外線による乾燥が気になる。
まあ、どのみち普段からあまりお手入れしていないので年中乾燥している状態に変わりはないのだが…(笑)。
保湿力の高さで日頃愛用しているのが、アレッポの石けんだ。
オリーブオイルを原料にしているので、洗った後もつっぱらず、しっとりとして使いごこちがすこぶるよいのである。
なんでもオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸が、人の肌の脂肪酸とよく似た組成をしているらしい。
皮脂をとりすぎず、適度に補ってくれる。乾燥する季節には特にその恩恵を感じてしまう。
洗顔だけでなく髪も洗えるし、全身さらには洗濯にも使える。シンプルケアにはもってこいなのだ。
アレッポといえば、シリア内戦で最も激しい戦闘地となった都市。
一時は工場を移転し生産が続けられていたそうだ(廃業を余儀なくされた石けん会社も多かったらしい)。
シリアもまた、今なお続く内戦で終わりの見えない苦しみの最中にある。
重苦しい紛争の傍らで、1000年もの歴史を誇る質のよい石けんが今もこうして作り継がれ届けられていることに、悲しさ、矜持…、なにかしら言葉にならない複雑な思いが交差するのである。
断面はオリーブの緑色。ウッディで素朴な香りがします。
■アレッポの石けん(アデル・ファンサ社)
石けんの発祥地とされるシリア地方で1000年も前から伝統的に作られている自然派石けん。原料はオリーブオイル、ローレルオイル、苛性ソーダと水のみ。香料や保存料、キレート剤、着色料等の添加物は一切使用されていません。古くからの伝統的な手法を守り抜き、釜で3昼夜、熱を加えながらゆっくりと練り上げられた後自然乾燥し、2年ほど熟成されてようやく石けんになるのだそう。皮脂をとりすぎない「オレイン酸」効果で、洗い上がりがしっとりします。
ライト(オリーブオイル98%)、ノーマル(90%)、 エクストラ(60%)と3種類あり、オリーブオイルが多いほど保湿効果が期待できそう。性質上溶けやすいので、ネットに入れて吊るし、なるべく乾燥した状態を保ちながら使うのがコツです(笑)。
●ノーマル
200g/693円(税込)※オリーブオイル90%、ローレルオイル10%
●ライト
180g/550円(税込)※オリーブオイル98%、ローレルオイル2%
文:酒のみむら|三村佳代子
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