その31 女性杜氏さんが醸す「酒母搾り」のお酒
2022.10.27
10月1日は日本酒の日。ご存知でしたか?
ひと昔前に比べ、このところの日本酒の進化はめざましい。
若い醸造家たちの挑戦でこれまでとは違う
個性豊かな地酒が次々に登場し、自由度が広がっているのだ。
そんな中、おっ!と目を引いたのが
“酒母”搾りのお酒。
はんなりとした女性らしいラベルも気になる。
造っているのは、山口県の酒造メーカー・はつもみぢの女性杜氏さん。
「日本酒が苦手という方にも気軽に飲んでほしい」と新たなコンセプトで取り組んだそうだ。
うすにごりで、口に含むとほんのりヨーグルトのような風味。
ピチピチとした爽やかな酸味とやわらかな
甘みのバランスがなんとも心地よい。
アルコール度数も9%と低く、食前酒にもぴったりだ。
酒母は、もろみ(発酵中の清酒)を仕込む前段階の液体(酛)。
清酒にするには、アルコール発酵に必要な
酵母を大量に培養する必要があるのだが
酒母はその一番最初というかベースとなるもの。
例えるなら元気で優秀な先発部隊の酵母菌みたいなイメージだ。
発酵力がまだ小さくとてもデリケートなので
雑菌を駆逐するために乳酸を添加する。
酸っぱさを整えるために、生麹で別に仕込んだ甘酒をブレンドしている。
この甘酒も糖度にかなりこだわって造ったそうだ。
ちなみに銘柄の「末摘花」は、源氏物語にも登場する姫君。
秋の夜長、女性杜氏さんならではの感性で醸された
やさしい味わいに酔いしれてみてはいかがだろう。
ぬたと合わせてみました。
活性が強いので開栓はゆっくり…。
■酒母搾り酒「末摘花」(すえつむはな)/(株)はつもみぢ(山口県)
女性杜氏と蔵元が、新しいコンセプトの日本酒として取り組んだお酒。
酒母に甘酒をブレンドしそのまま瓶詰めしたさわやかで甘酸っぱい味わいが特徴です。
瓶内発酵させているので、スパークリングワインのような心地よい微発泡感が楽しい。フルーツとの相性もよさそうです。
「末摘花」は万葉集にも出てくる日本の赤色=紅色の雅名でもあるそうで、ほのかに赤らむ美しい女性をイメージしているのでしょうか…。
原材料/山田錦100%
精米歩合/50%
720ml/1650円
文:酒のみむら|三村佳代子
酒のみむら プロフィール
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