第5回 4.ところで欠かせないふたり。あんこときなこ

2016.01.25

 

 

 

〈大塚家にはイヌの「あんこ」とネコの「きなこ」がいます。あんこは聞き分けの良い甘えっ子という印象。きなこは最初、隠れていましたが、私たちがお邪魔して2時間くらい経つと、姿を見せてくれました。きなこはよく喋るそうです〉

 

——:あんこはいくつですか?

 

啓ニさん:あんこはこの家を建ててすぐに来たから、もうすぐ10年ですかね。

 

 

——:きなこは?

 

啓ニさん:きなこは3年前、そこの田んぼに落ちてたんですよ。はす向かいの田んぼから声が聞こえてきて。

 

小百合さん:きなこ〜。やっぱり出て来ないね。飲み会の間じゅう、出て来なかったこともあるんです。何時間でもトイレも我慢して。なんかね、小心者なんです。

 

——:この柱は、きなこちゃん用…?

 

啓ニさん:構造上必要なもので、ぶつかったら痛いからって、麻縄を巻いたんですけど、ちょうどいいキャットタワーになっています。ツメを研ぐから、上の方がボソボソになってるんです。

 

——:下の方じゃないんですね。

 

小百合さん:人の目線より少し上に行って、「どやどやどや」ってやります。

 

 

啓ニさん:ちょっと窓を開けておこうか。

 

——:あ、自転車の人が行ってるのが見える。

 

小百合さん:自転車の練習場には事欠かなかったね。

 

啓ニさん:直線コースもあるし、車が来ないし。

 

——:こうして2階の窓から自分の家の屋根が見えるのも、すごくいいですね。

 

小百合さん:屋根の上に座ると、景色を見るのにちょうどいい高さになるんです。夏はすっごく涼しいから、お昼寝にもぴったしです。リクと一緒に座って麦茶を飲んだり、流星群を見たことがあります。昔はここに布団を並べて干していたんですけど、拭くのもたいへんだから最近はビニールシートを敷いて、布団を干してます。

 

啓ニさん:薪ストーブの煙突まで歩いて行けて、しかも煙突が短いから、自分たちで煙突掃除が出来るんです。

 

——:この屋根に、きなこは?

 

小百合さん:きなこはねー、出すとダダダって軒先まで走って行って、ジャンプして脱走するんですよ。 あ、きなこがあそこからじっと見てる。

 

 

——:見えないフリをした方がいいのかな? そうしよう…。あんこは2階には上がってこないんですか。

 

啓ニさん:土間から上には来ないです。でも実はそっと上がって来て、ゴミあさりをしていたことがあるんです。

 

小百合さん:上がっちゃいけないことはわかっているし、みんなが見ている時は前足しか上げないけど、夜中に、1階でチャッチャッって床を歩く足音が聞こえることが…。

一度だけ、布団の中で目が覚めて、2階に上がってきたあんこと目が合って、「あ!」って。

 

——:えーー?

 

小百合さん:らせん階段が怖いから基本は上がってこないんですけど、そのときは明け方に。何かが眠っている私の足を舐めて起こされた、という感じだったんですけど。すぐに黒いものがダダーって逃げて行って…探したらキッチンマットにこんもりうんちが!

きっとお腹が痛くて、トイレしたくて起こしに来たけど、起きないし、我慢できずにせめてマットで、ってことだと思うんですけど。でもその後、あんこは怖くて降りられないから、抱っこして降ろして。

その後にも抱き上げて2階に連れて来て、お風呂に入れたことはあるけど、だっこも階段もあんまり怖がるからやめました。

 

啓ニさん:うん、危ないし。

 

小百合さん:あの大きさの子を抱っこして降りるのは危ない。

 

 

小百合さん:あんこ、土間に入る? 今日は写真、いっぱい撮ってもらったじゃない。

 

——:あんこは吠えないですね。

 

小百合さん:不審者とふくちゃん(『FREE STYLE』の三原さん)だけ。ふくちゃんは不審者じゃなくて、大好きなの。好きすぎて吠える。クルマから下りてくるのに時間がかかったら、「ワン!」、早く!って。

 

啓ニさん:(土間に入れてもらったあんこに、)あんこ、ハウス!

 

小百合さん:「ハウス」っていう命令、まだ効くんだ。

 

啓ニさん:みんながいたら許してくれると思ってる。かわいさアピールして。

 

小百合さん:あんこはいくつになっても落ち着かないな。

 

 

——:この三和土(タタキ)の感じもいいですね。

 

啓ニさん:三和土って本当に叩かないと締まらないんですよ。知り合いの左官屋さんがやってくださったんですけど、そことここらへんは元気いっぱいでやってくれてるんですけど、ここらあたりに来たとき、段々と力尽きてきて、建てて1カ月くらいでポロポロしてきて

 

小百合さん:建てたばかりで、完全には硬化していなかったときに、見学会でここに椅子を持ってきて、みんなで座ってストーブを見ていたんです。そうすると椅子の下が完全に掘れてきていて。これはいかん、って。

珪藻土の三和土は店舗で使っているところもあったから、自分たちで仕入れてやったんです。これはもう塗るだけ。下塗りして上からコテで押さえて、という作業で。こことトイレもやりました。珪藻土だから、部屋の匂いを吸収してくれていいよね。本当は全部を珪藻土にしたいんですけどね。

 

啓ニさん:向こうの三和土はまだきれいだったから、そこに真鍮で見切を打って、そのままになってるんです。いっぺんには全部やれないので、とりあえず必要なところだけやって、あとはまた、ということで。

 

——:わざとこうしてるのかと思いました。いい雰囲気になってますね。壁も天井も珪藻土ですか。

 

啓ニさん:そうです。

 

小百合さん:空気をきれいにしてくれている感じはします。お風呂もあんまり結露しないもんね。

 

 

 

〈大塚家の年賀状には、あんこ、きなこを含む家族全員が登場します。そのアイデアと微笑ましさと完成度の高さで、毎年楽しみにしている人がたくさんいるようです。いくつかを見せていただきました〉

 

小百合さん:これが2012年。この家族写真シリーズにするようになったのはいつからかな。

 

啓ニさん:辰年からかな? 音楽のやつ。あんこを無理矢理、家の中に連れて上げて撮ったやつ。

 

小百合さん:あんこも恐がりながら。

 

——:この海の年賀状はどこで撮ったんですか?

 

小百合さん:それは渋川です。今年はMIMOCAで。

 

啓ニさん:いや、MIMOCAじゃなくて、今年はひつじ年だからドイツの森で、うま年がMIMOCA。あんこを連れて上がったら、「ちょっと動物は困るんですけど」って言われて、合成にしたという(笑)。

 

小百合さん:「これは合成です」って、写真にちゃんと注釈も入れてね。これがドイツの森。朝一番に行ったけど、日差しがなかったから暗かった。

 

啓ニさん:夕方じゃない?

 

小百合さん:そうだっけ? とにかく毎回、もう無理、とか言って喧嘩しながら行くよね。もう今年はイラストにする、って言ったら、写真シリーズなんだから写真撮らないと、って。でもいやだいやだ、みたいな。自分が出るのが大キライなんですよねー。

 

小百合さん:これが家族シリーズの最初。パロディが伝わらずCDデビューしたの?って言われて。

 

 

——:あ、リク君が幼い。このときはまだきなこがいないんだ。

 

小百合さん:この年でリクに背を抜かされたな。きなこはこのときはまだ拾われてないですね。これが、きなこのデビュー。海に連れていって、ぶるぶる震えてるところ。

(きなこ、ようやく登場) あ、今、きなちゃんの話をしてたんだよ。

 

 

——:きなこは抱っこされるの、好きですか?

 

啓ニさん:大嫌いなんです。それなのに寝ているときには、人の上に乗って寝るんですよ。

 

小百合さん:撫で撫では好きだけど、抱っこは嫌い。きなこ、「わたしはオレンジのソファの前が一番似合うんです」と言ってます(笑)。きなこは、手すりの上とか、仕切り壁の上にぴったり収まるんです。あっちの四角の窓のところにもばっちり入るし、ここにも。幅がちょうどいいんです。びっくりぴったり。

 

——:まさにここにも、「びっくり、ぴったり」!

 

 

 

〈大塚さん家族が暮らす空間がなぜ「素敵な家」なのかというと、彼らが、一緒に笑えることや、知りたくてつい追求してしまうこと、明日起きたらやりたいこと、などをたくさん持って、毎日を過ごしているからにほかならないと思います。

出来立てのピカピカだった家は10年の月日を経て、温かみのある空間に変貌を遂げています。
イヌとネコを含む家族みんなが醸し出す熱や温かみが、空間全体を支配していて、大塚家の日常は、陽だまりのように明るく心地よさそう…。〉

 

小百合さん:きなちゃん、木登り見せてあげて。(木登りのリクエストには答えず、きなこ、ねえねえ、と手を出す)。…手をクロス気味にして、「ぽんぽんしてください」って催促するんです。

 

——:わりと強めのぽんぽんですね。

 

小百合さん:子猫の時は丸めた紙を投げたら、持って来てくれてたんです。私たちが仕事をしているときは、キーボードの上に乗ったり、キーボードの向こう側から顔を出したり。

 

 

啓ニさん:最近はキーボードの上に寝そべって、だいたい『つつつつつ』って文字が打たれてて。”ポン・ポン・ポン・ポン”って音が。

 

小百合さん:お仕事してるんだもんね。だいぶ慣れてきた。みんなきなちゃんのこと見てるんよ。きなちゃんのこと話してるんよ。

 

——:ここは、床に直に座るのが気持ちいいですね。

 

小百合さん:だいたいみんな床に寝そべって、ソファに足をかけるの。

 

 

啓ニさん:(きなこに)ごはん? ごめん。買ってくるわ。ちょうど今日、終わったんよ。ごめん。

 

 

〈この家で一番エラいのは、きなこちゃんかも…〉

 

 

2015年10月 取材
文:尾原千明
キャプション:編集A

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