第14回 『ゼロ・ウェイスト・ホーム』

 

ベア・ジョンソン 著/服部雄一郎 訳/アノニマ・スタジオ 刊

 

 

 

キッチン、子ども部屋、寝室。家の中にはモノがあふれています。台所道具、洋服、洗面用品、事務用品、おもちゃ。お金を払って購入したもの以外にも、チラシやダイレクトメール、粗品、レジ袋・・・。すっきりシンプルに暮らしたい。さてどうします?

ゼロ・ウェイストとは、 ごみをどう処理するかではなく、 そもそもごみを出さないという考え方。本書は、カリフォルニア在住の著者とその家族によるゼロ・ウェイストの実践を、愉しく紹介しています。

たとえば、日々の買い物にはエコバッグのみならず、保存瓶や布袋が大活躍。野菜や果物はメッシュの袋に、パンは古いシーツで作った布袋に。アイスクリーム屋でも保存瓶に詰めてもらいます。量り売りや無包装で販売してくれる店やマーケットも活用。使い捨てでなく繰り返し使えるもの、無包装のものを選ぶことで、ゴミが出なくなるばかりか、実は室内の美観にもつながります。カラフルな袋や箱に入った食材と、ズラリと並ぶ同じ形状の保存瓶に入った食材と。どちらのキッチンが整然と美しいかは、もうおわかりですね。

単なる断捨離ではなく、消費の方法自体をシフトすることで、支出は減り、残業の必要がなくなり、家族との時間も増える。実際、著者がゼロ・ウェイストに取り組むようになって、5年間で支出は40%減ったそう(子どもたちは成長し、よりたくさん食べるようになったというのに!)。

Refuse(断る)、Reduce(減らす)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(資源化)、Rot(堆肥化)。「5つのR」の実践で、ごみをゼロに近づけられると著者は言います。出るゴミの量が問題ではなく、大切なのは、自分たちの消費の力が環境に及ぼす影響を理解し、その理解の上に立って行動すること、とも。「台所と買い物」「仕事部屋」「子育てと学校」「外食・旅行」など、暮らしを変えるヒント満載の本書を手に、まずは家の中の点検から。また使うかも? と迷った時は、以下のチェックリストをご活用あれ。

□ ちゃんと使えるか? 期限切れではないか?
□ よく使うか?
□ 同じものが2つ以上ないか?
□ 家族の健康を危険に陥れないか?
□ 義理の意識から持ちつづけていないか?
□ 「みんなが持っている」から持っているのでは?
□ 私の大切な時間を割いて手入れをする価値があるか?
□ このスペースを何かほかのものに使えるのでは?
□ リユース可能か?

 

選書・文  スロウな本屋 小倉みゆき

 

『ゼロ・ウェイスト・ホーム』 オンラインショップページ

https://slowbooks.securesite.jp/shop/products/detail.php?product_id=384

 

 

スロウな本屋

「ゆっくりを愉しむ」をコンセプトに、店主が選んだ絵本と暮らしの本が揃う小さな新刊書店です。戦前から残る木造長屋をリノベーションした店内では、毎月多彩なワークショップを開催しています。
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