「なんだか楽しそう!」な人たちって、暮らしも楽しそう! それってつまり、〈 暮らし上手 〉だと思うんです。
そんな人たちの「たのしい」の秘訣、聞いてみたいな・・・。 よし!会いに行ってみよう!!
思い立ったが吉日、さっそく お伺いした暮らし上手さんからは、幸せのヒントが いっぱい飛び出してきました!


赤磐市の自宅でパン教室「Campagne(カンパーニュ)」を開いている加藤佳奈子さん。5歳になる食いしん坊の息子さんとご主人の3人暮らし。焼きたてパンの香ばしい香りとともに、おいしい食べ方や旬のもの、インテリアのことなど、飾らない人柄で「おいしい!」の喜びや楽しさを伝えています。お話を聞きに行った日は、コロコロとしたつやつやのベーグルを焼いてくださいました

(聞き手:松田祥子)

1.ゼロからの自宅教室 『暮らし上手さんに会おう!第10回』

2017.05.08

 

 

 

【教室が行われている部屋は天井が高くて開放的な雰囲気。外の木々が見える大きな窓があります。テーブルの上には、ぴんっと立ち上がった球根付きの赤いチューリップがグラスに一輪飾られていました】

 

佳奈子さん:お昼にベーグルを焼こうと思ってるんですけど、作りながらでもいいですか?

 

――:ぜひ! 今日はよろしくお願いします。

 

 

佳奈子さん:撮影用には食パンを焼きますね。ほんとはレッスンを見ていただくのが一番なんでしょうが、なかなか賑やかなので(笑)。

 

――:パン作りの工程をぜひ撮りたい!と言っていたこちらの要望まで応えてくださって、恐縮ですー!

 

【佳奈子さん、ささっとワインセラーに向かい、取り出したのはワイン、ではなく、袋に入ったパン生地??】

 

佳奈子さん:ふふふ。このワインセラーはパンの発酵に使っています。温度が6~15で発酵にちょうどいいんですよね。優雅な生活をしているわけではなくて(笑)、パンのためのものです。

 

 

――:そんな使い方もあるんですね。佳奈子さんは東京から引っ越して来られたんですよね。

 

佳奈子さん:はい、2011年に引っ越してきました。震災がきっかけではないんです、夫の実家がこちらにあって。戻る話が決まって2年くらいは向こうで、高橋雅子先生のパン教室「わいんのある12ヶ月」のアシスタントを勤めながら勉強させてもらっていました。

2011年の2月に岡山に越してきて、すぐ後に東日本大震災が起こったんです。

 

――:パン教室「カンパーニュ」はいつスタートしたんですか?

 

佳奈子さん:2011年5月ですね。震災があって、私自身すごくモヤモヤとしていて。みんなが大変な時に自分だけパン教室?もうええやんって気が乗らなくなってきたんですけど、夫から「すぐやらないんだったら、ホームページ作らないよ」と言われ、これはやらなしゃーないと思って。

 

――:笑。佳奈子さん、関西弁ですけどご出身は?

 

佳奈子さん:兵庫県です。大学までは関西にいて、就職で東京へ。

 

――:じゃあ、引っ越した当時、岡山に知り合いは?

 

佳奈子さん:いないです。ひとり、ふたり。

 

――:教室はゼロからのスタート?

 

佳奈子さん:はい。私は岡山の土地勘も全く分からないし、ここが田舎なんだということすら分からずに来たので。ただ一つ聞いていたのは、車があれば行きたいところに人は行くから、と(笑)。

 

 

――:最初はご主人が作ったホームページで教室の募集を?

 

佳奈子さん:とりあえず何かツールがないと人が集まらないと思ったので、撮りためておいたパンの写真を貼り付け、夫に作ってもらいました。初めに連絡をもらったのは岡山の方でしたね。最初はマンツーマン。2人で一緒にご飯作ろうかという感じからはじまり、定員を4人にしてやっていたんですけど、今はテーブルを横2つに並べて8人を定員にしてやっています。

 

――:今はどれくらい生徒さんが?

 

佳奈子さん:生徒さんの数は延べ200人くらいですかね。岡山をはじめ広島や兵庫、鳥取、愛媛など遠方からも来てくださっています。最近はインスタグラムもしていて、そちらから入ってくる生徒さんも多いです。ありがたいことです。

 

 

 

【生地を分割し、手で一つずつまるめていく佳奈子さん】

 

――:くるくる丸まった生地、かわいいですね。教室で焼くパンはどんなものですか?

 

佳奈子さん:粉、塩、水、酵母などシンプルな材料を使ったパンがメインです。雅子先生に教わった少しのイーストや天然酵母でゆっくり生地を発酵させる長時間発酵法で作っていきます。昔の製法でいえば、パン生地をとにかくこねて、こねて、叩いて、叩いてという方法もあるんですが。

 

――:あ、そういえばストレス発散に夜中にパン生地をこねるという友人がいました。

 

佳奈子さん:はい、そうやってパン屋さんのようなフワフワなパンを作る方法もあるんですけど、ハード系のパンはほとんどこねないんですよ。時間をかけてゆっくり発酵させることで、生地が熟成されて粉の味わいが感じられるおいしいパンになるんです。

教室では4時間で焼き上げて試食までするので、少しのイーストで作るときはこねるところからやってもらいますし、天然酵母は半日発酵させないといけないのでこちらで発酵させておいて、成型からやってもらいます。あとは焼きあがったパンに合わせた簡単な料理と食後のデザート、ドリンクをみんなで楽しみます。

 

 

 

――:生徒さん同士は初対面の人もいるんですか?

 

佳奈子さん:います、います。一緒に来たい方々には一緒に予約していただいてますけど、基本はバラバラですね。でもね、面白いもので食べ物を通じてつながっているので意外としっくりくるんです。そこで新しい出会いがあったり、新しい発見があったり、ほんま皆さん情報をたくさんお持ちです。

 

――:情報交換の場にもなっているんですね。

 

佳奈子さん:そうそう。どやなー、こやなーって(笑)。生徒さんと私と9人でテーブルを囲んで試食するんですが、誰が先生なのか分からないくらい貫禄がなくて。うちは来てくださる人で成り立っていると思います。

 

 

 

【佳奈子さん、今度は食パンを焼くための準備を始めてくださっていました】

 

佳奈子さん:これが酵母です。今回はお米や麹が原材料になったホシノ酵母を使っています。

 

――:酵母も自分で作るんですか?

 

佳奈子さん:これは乾燥した顆粒粉末状のパン種 (発酵種)に水を合わせて寝かせてつくったものです。あそこにある瓶はイチゴやレーズンを使って発酵させている途中の段階。自家製酵母ですね。パンが膨らむのは酵母の力なんです。酵母を育てる面白さもありますよ。

 

 

【佳奈子さん、ボウルの粉に酵母とお水、砂糖を加えて、優しくこねています】

 

――:材料をぴったり量るのが失敗しないポイントですか?

 

佳奈子さん:計量は重要です。でも、大切なポイントをおさえれば楽しくおおらかな気持ちでいって大丈夫。粉に入ってく水はその時々で違ったりするんです。季節によっても、その日の温度や湿度によっても。そこが深くて難しいところでもあり、面白いところです。

 

――:菓子パンや惣菜パンなどたくさんの種類がある中で、なぜ佳奈子さんはハード系のパンを教室で焼こうと思ったんですか?

 

佳奈子さん:それは単純に好きだったからですね。パンは日常のものなので材料は粉・塩・水・酵母だけでいいと思っています。あと、惣菜パンってお店で買えばいいやって思うから(笑)。息子はクリームパンやカレーパンが好きみたいなんですけど、私が作らないのでパン屋に行った時に「おかあさん、カレーパンは作るのが難しいの?」と聞いてきて(笑)。私も作る気がないから「カレーパンはお店で買った方がいいんよ」と言ってます。

 

 

――:かわいい! 息子さんは何歳ですか?

 

佳奈子さん:今、保育園児です。5歳になります。すごく食いしん坊でね、親と対抗して同じ量を食べようとするんです。私の誕生日のときに「パンを作ってくれてありがとう」と手紙を書いてくれたんですよ。うれしくてね、息子に何のパンが一番好き?と聞いたら、「ぼくね、クリームパン!」って。母さん、一度も作ったことないし。

 

――:笑。

 

 

【会話しながらも絶えず手を動かしてパンの作業やランチの段取りを進める佳奈子さん。その間に寝かしたパン生地は、ゆっくりと発酵していました。次回は佳奈子さんとパンの出会いについてお伺いします】

 

つづく・・・4回連載 第2回「2.「この人や!」と思ったんです」は5月15日UP予定です。

2017年3月 取材
文:松田祥子
キャプション:編集A

※ 写真をクリックorタップするとキャプションとともに拡大写真がご覧いただけます。

 

◆「Campagne(カンパーニュ)」のホームページ http://www.boule.jp/

 

2.「この人や!」と思ったんです →

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